
待ちに待った遍路旅です。何度も何度も机上遍路して練り上げた計画を実行に移します。歩くコツや要領がわかってきたので、楽しい旅になりそうです。 今回は31番竹林寺からです。思いがけぬ寒波で肌寒いです。しかしお天気なので32番禅師峰寺に着いたころは体も温まりました。高台にある禅師峰寺からの景色は(写真)どこまでも続くビニールハウスと青い太平洋です。このときはまだ、このビニールハウスの横を延々とあるくことになろうとは知らずに眺めていました。 33番雪渓寺までは、遍路道でもある種崎からの無料渡し舟を利用しました。あっという間に対岸についてしまう程の距離ですが、しばし楽チンで浦戸湾内からの景色も楽しめます。自転車やオートバイのまま乗り込んでくる地元に人たちと一緒に対岸に渡りました。 ほどなく道路沿いにあるにぎやかな雪渓寺に到着。ここでちょっと問題が起きたのです。実は今回のお遍路に、春休みで帰省していた息子を誘い同行したのですが、足が痛くてもう歩けないというのです。いくらも歩いていないのにと情けない話しですが仕方ありません。ここで息子と別れ私一人で34番種間寺に向かいました。この後息子は、雪渓寺前のバス停で高知行きのバスを待つ1時間の間に、この先も頑張りなさいと何度もお接待を受けたとメールしてきました。私と一緒だったらこの嬉しい気持は味わえなかったかもしれません。ほんの僅かなお遍路でしたが息子には貴重な体験になったに違いありません。 さて私もひとりになると様々な出会いがありました。 ある三叉路の少し手前で、カブに乗ったおじいさんが「この先は真ん中の道を行きなさいよ」と教えてくれました。お礼を言い三叉路まで行くと、先ほどのおじいさんが待っててくれるではないですか。恐縮しました。この先おじいさんとは違う道を行くのに、行く先々でタイミングよく現れ案内してくれるのです。もうびっくりです。「この辺は間違えやすいからね」とおじいさんは煙草をぷかぷかしながらニコニコ顔。本当に偶然なのかもしれませんが、カブに乗ったおじいさんの早業は嬉しいものでした。 34番種間寺を過ぎ、菜の花畑沿いの道を前から男性ランナーがきます。何か気になり、すれ違いざまに「えーっ?ランナー遍路さん?逆打ちの?」。あたりです。ランナー遍路さんがいてもいいのにと思っていただけに嬉しい出会いです。荷物の軽量化の工夫や、順打ち用のシールを振り向きながら走る苦労話を伺いました。こんな貴重な出会いに思わず合掌。上には上がいるものだと感服したのでした。 今日の予定は35番清瀧寺まで打つ予定です。息子に予想外の時間を費やしてしまったけれど何とか大丈夫だろうと思った矢先のことです。仁淀川のたもとで、お接待をしてくれそうな男性が私を待ち構えています。困ったな〜と思いながらもお茶のお接待を頂いたら話しが長い長い。5時までに清瀧寺につきたい私は気が気でなかったです。その後は仁淀川の堤防を走るようにして宿まで行き、荷物を預かってもらって、また走るようにして山道を駆け上がり、5時の納経に何とか間に合いほっとしました。大汗をかきながら、あの長い長いお接待は私を走らせるためだったような気がしました。ランナー遍路さんが教えてくれた通り清瀧寺の雪割り桜は奇麗でした。怖い怖い戒壇めぐりを体験してからヤレヤレとばかりに降ってきました。 様々な出会いのお陰で無事歩けた初日でした。 |