
今日お参りする20番鶴林寺と21番太龍寺は、ちょっとした山登りです。朝7時に宿を発ち、すぐにみかん畑の道を縫うように登りました。時折、マイペースの夫を待ちながら振り返ると昨日歩いた勝浦の町がのぞめます。今日もお天気です。 一生懸命歩いて21番札所の仁王門に着きました。まるで別世界に着いたかのような、言い知れぬ感動を味わいます。春の12番焼山寺のときのことを思い出します。ここまで歩いて来た人だけに与えられる感動です。この心地よい疲れが、また次へ向かって歩く活力源になることが不思議でたまりません。 お参りを済ませ、一気に山道を駆け下り国道に出たとき一匹の犬が尻尾を振って出迎えてくれました。しばらく一緒に歩いてくれる犬に「待っててくれてありがとう」という気持になりました。犬からも優しさを学び、歩くにつれ私のこころが素直にどんどんやわらかくなっていくのを感じます。犬だけではありません。道端のお地蔵さんであったり美しい景色であったり、ものを言わないものが心を癒してくれるのです。いかに感じ取るかによって、こころの癒されかたが随分違ってきます。日常で鈍ってしまっていた感性が、歩き遍路によって息を吹き返しはじめた感じがします。 さらに歩き、那賀川の素晴らしい景色に出合いました。心和む水井橋からの景色はまさに桃源郷でした。ここでザックを下ろし美しい景色を眺めながら暫く休憩しました。このときには、この先がどれだけ大変か知る由もないのでした。 ここからは21番太龍寺へ登り返します。夫の後ろについたり前にでたり後半は言葉もなくひたすら登りました。こういうときは本当に一人でなくてよかったと思うときです。これでもかという坂を登りきり21番札所に着いたとき、二人は相当へたばっていました。今日は連続の山登りで、お参りを済ませてからお互いによく頑張ったと褒めあいました。 今日は宿の関係上、ここを1時間降ったところにある宿から先に進めません。ですから私にしては本当にのんびりこのお寺で鐘の音を聞きながらお昼をいただいたのでした。(写真:太龍寺)
いよいよ明日は日和佐までの難関です。歩くしかありません。
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