2012紅葉 槍沢⑧ 大喰岳

Cimg2131 大喰岳オオバミダケ(3101m)からの景色は想像以上に素晴らしかった。(誰も居ないのでタイマー撮影。ゴツゴツした岩の上を行ったり来たりで苦労して撮った一枚です) 

 

 
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アチコチ眺めては写真をたくさん撮った
 

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左)
槍がなんとも美しいルートが一目瞭然で見ていて飽きない 
右)常念岳から西岳のルートも一望左脇に写る赤い屋根は大槍ヒュッテ。
 

 

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左)
振り向けば今日歩いてきたルート一望。[E:lovely]うっとり~[E:lovely] 
右)飛騨沢東鎌尾根 薬師岳まで遠望できた。黒部五郎岳は雲がかかりだす。

 


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人口密度が高い涸沢に比べ、ここは全部我々のものって感じ。
笠を背にしてひなたぼっこ。これぞキング・オブ・贅沢。静かって本当にいい。

大喰岳で過ごした30分心休まるものだった 

 

    Cimg2143 
11:20大喰岳下山開始。 大きなザックを担ぎ 一歩一歩確実に上がってくる登山者あり。その姿は 私の心を打つ旅人の姿だった。じっと眺めた。
私はその先
飛騨沢の分岐まで降りまた登って槍の肩に上がる。 それで長年かけて歩き繋いだ稜線踏破となる。  

 

 

Cimg2146 行く手右側を見れば槍沢の殺生小屋、東鎌尾根の大槍ヒュッテ、ヒュッテ西岳、常念小屋がほぼ一直線に並んでいた。
自分が歩いた稜線を遠くから眺めるほど嬉しいものはない。至福のときだった。 

 

Cimg2148 テント場を縫うように登って槍の肩に到着。11:50

私「せっかくだから槍に登ってこようかな 
夫「えっ!」

  
   

                                     つづく
  

 

 

 

 

2012紅葉 槍沢⑦ 中岳

BS番組のにっぽん百名山の主題歌「空になる」を聞きながら読んでみて下さい。出だしが面白いですよ。歌詞が好きですここをクリック

   

 

 

Cimg2091 南岳ピークを通過し北へ20分ほど行くと、昨日上がってきた横尾尾根の分岐に着いた。ここは昨日ホワイトアウトだったけれど今日は雲ひとつない[E:sun][E:sun][E:sun]
天狗池から
2時間半か上がってきた標高差430mの景色は、私にとっては飽きない景色だった。 

 

 

Cimg2096 分岐からは、槍に向けて初めて道を行く 行く手に見える槍ヶ岳東鎌尾根は なかなかイイものだった。  

 

 

 

Cimg2101 今まで遠くから眺めるだけだった中岳・大の間近まで来た。 なるほど・・・こうなっているのか・・・山はいろんな角度から見るものだとしばし眺める。

Cimg2043
朝、小屋から見た写真↗ このときはわからなかったけれど、赤く焼けた山が中岳のようだ。こうなるともう一度南岳小屋から眺めてみたくなる。

 

 

 

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 中岳に登る手前の鞍部で休憩する。大喰岳東斜面に残る大きな雪渓ここに来て初めて見ることができた。地図上でのツバメ岩もよくわかった。あれがこうで、これがああだと30分もアチコチ眺めていたので、中岳から降りてくる登山者を何人も見送った

 

 

Cimg2111
9:30 中岳(標高3084)に着く。槍から来登山者がいた。間近に見る大喰岳のカール大きく立派なものだった

 

Cimg2112
中岳から振り返ると 、私が長年かけて歩いた焼岳までの道が一望できた この景色の中にはたくさんの思い出があり、それは今では私の大切な財産となっている。  愛おしく眺めた。 

 

 

Cimg2115
中岳から槍への稜線を見る。まだこれを行けるかと思うと嬉しかった。
右端の雪渓上部が大喰岳で、真ん中の雪渓上部が鞍部のようだ。

 

Cimg2116 中岳からハシゴを使って大きく降る。登ってくる登山者を待ちながら覗きこむ。

 

Cimg2117
上からではわからなかったけれど2段のハシゴがかかっていた。

 

Cimg21178 大喰岳の登りに備えてダウンを脱ぐ。前にも後ろにも登山者はない。プライベート稜線だった。

 

Cimg211710
谷を挟んで鏡平小屋から弓折分岐の登山道見る。雲ひとつない中崎尾根・双六岳・黒部五郎岳・薬師岳。絶好の稜線歩きだった。 

 

Cimg21212 ヘリコプターだけでなくセスナも珍しく数台飛んでいた。セスナは頭上に来ると翼を傾けたりカッコイイところを見せてくれこれはサプライズ?と勘違いするほどだった。きっと向こうも穂高稜線に酔いしれていたに違いない。[E:note]ボクは空になる~ららららららららら~(さだまさし)

 

Cimg2124 荒涼とした岩稜帯から色鮮やかな天狗池を見下ろす。今日は槍が綺麗に写り込んでいるはずだ。みな喜んでいるだろうなと想像するだけでこちらも嬉しくなった。

 

Cimg2127
10:50 大喰岳(3101m)とうちゃこ~=到着です。BS番組『日本縦断こころ旅』の火野正平の真似) ここもまた素敵な場所で素通りするにはもったいないところだった

                                        つづく

 

 

 

 

2012紅葉 槍沢⑥ 南岳

平成24年10月8日(月・祝)[E:sun]
Cimg2032
5:15起床。南岳小屋2階の窓から外を眺める。今日の始まりの5:28ころ。

 


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5:30の朝食を済ませ外に出ると、もう太陽はのぼり空は青くなっていた。
遠く(常念平)で写真撮影する人のシルエットが黒い粒となって見える。


 
 

Cimg2036 さっきまで青かった空は黄金色なり、刻々と表情を変え


 

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雲海に浮かぶ南アルプスの奥に富士山を見る。私を含めいったい何人の人が今、富士山を眺め幸せに浸っているのだろう。稜線ならではの朝だった。

 

 

Cimg2041
大キレットは赤く焼け、山の端がくっきり見える。
私はもう、ここに立つことも、ここを行くこともない
、多分。見納の景色としては満足いくものだった。今から行く登山者の無事を祈りながら眺めた。(2009年大キレット

 

Cimg2048獅子鼻に移動する。山肌は綺麗に紅葉し燃えているかのように赤かった。よく観察すると、雪渓のところは陰っている。お日様の力ってスゴイと改めて感じる。

 

 

Cimg2055 アソコに行くことはもうあるまいこれが見納めと天狗池をじっくり見下ろす。

 


Cimg205514 獅子鼻でのお別れの儀式は感慨にふけるものだった


 
 

Cimg2059 笠ヶ岳に向かって天気最高!景色最高!穂高最高!バンザ~イ!

Cimg2060しばらくして、笠ヶ岳にくっきり映る右端)から西穂(左端)の穂高稜線の影を見つけた。穂高稜線の影をど~んと引き受ける笠稜線は堂々としていた。スゴイものを見せてもらいまたしばらくたたずむ。 

 

Cimg2073 天気に恵まれた南岳小屋からの景色は本当に素晴らしかった。左奥遠望の山は白山。

 

 

Cimg2079 ようやくザックを背負い出発しようとすると南岳小屋ではもう布団を干し始めていた。1時間以上もここで景色を眺めていたことに気づく。

 

 Cimg20639とにかく立ち去りがたい場所だったのだ。 

 

Cimg2084 小屋から10分ほどのところにある南岳頂上に着いたのは、小屋を出てから1時間半が経っていた。のんびりしてたから他の登山者は皆無。だって大キレット南岳新道天狗池、どこから来てもこの時間に南岳には立てないのだから。

昨日見えなかった常念岳が今日は望めた。最高[E:sun]

 

 

Cimg20852
南岳から稜線を見た途端、
よ~し行くぞ! エンジンをかけ

                                   つづく

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 
 

 
 

 

2012紅葉 槍沢⑤ 天狗池~南岳小屋

2012紅葉 槍沢④の続きです

 

Cimg2208 天狗池(標高2524m)で45分休憩後、11:00横尾尾根のコル(天狗のコルともいう。標高2700m)に向けて標高差176mの岩塊群を行く。バリエーションでもないのに、ここから先に入る登山者は我々だけだった。

 

Cimg1984
今日一番のナナカマドはコレだ!とはしゃぐふたり。幸せなひとときだった。

 

 

Cimg19895
横尾尾根のコル直下の登山道に大きな雪渓が残っていた。2009年10月にここを歩いたときはなかったので驚く。 これも今夏の雨の少なさが原因だと思われる。

 

 

Cimg19897
Cimg19918

大きな岩がゴロゴロある急坂を喘ぎながら登る。日が陰るといっぺんに不気味な景色と変わる。

 

 

Cimg1990 夏には黄色の花を咲かせるミヤマダイコンソウ(バラ科)の葉っぱも秋には色づき、紅葉にひと役買っている。

 

Cimg1992 12:00ちょうどに横尾尾根のコルに到着。

ここまで来ると今まで見えなかった前穂北尾根~屏風岩が見えるようになる。3つ先の谷は涸沢。ここから見えないけれど大混雑していることは想像できた。

それに比べてここはとても静かだった。この本谷右俣カールに降りたことを思い出しながら景色に酔いしれる。

 

このコルに、『ひまわりの造花』をザックにつけた先客がいた。それを見るなり、昨日上高地を前後して歩いたテント装備の若い男女だとすぐわかった。

このひまわりさんに昨日はどこで泊まったか尋ねると、すぐそこ[E:downwardright] と本谷右俣カールを指さした。その場所はすぐわかった。そこは確かにテント泊に快適な場所で、ビバークの名目で数張られている形跡があったことを覚えている。ワイルドな若者たちの武勇伝は今の私にはうらやましいものだった。

 

 

 

横尾尾根のコルからは南岳に向けて進路を西にとる。稜線までの標高差260m。
標高を上げていくと風が強くなり、稜線の霧が細かい雨となって飛んできた。

 

Cimg1996きっとその風が稜線の霧を吹き飛ばしたのだろう。ウソのように霧が晴れ今から登るルートが全貌できた。これが山の不思議というもので大いに喜んだ。

 

Cimg1999 振り返ると、横尾尾根の南斜面からたくさんの色が本谷右俣にこぼれ落ちていた。それを眺める今すれ違った登山者を含めて、私はほれぼれと眺めた。

 

 

     Cimg1995  Cimg2001

左)クロマメノキ・・・だと思います。何れにしてもツツジ科であることは確か。
右)チングルマ・・・でしょう多分。バラ科。

花や実がついていないので近づいて特徴を観察して勝手に判断する。どちらもバックは前穂北尾根。 

 

 

Cimg2005 Cimg2006
稜線に近づくと険しい急坂になる。鉄梯子は冷たかったけれどしっかりつかんで登る。核心部を抜けてなだらかな道を少し行くと・・・・

 

 

Cimg2007
ようやく稜線上の分岐(標高2960)に出た。PM1:30。最悪にも稜線はホワイトアウトで全体が見渡せなかった。

 

Cimg2008 分岐からは南に向かって歩く、と頭に入っている。なのにしばらく行くと登山道は大きく西に蛇行しはじめたので道を間違えたかのような嫌な感じになる。マークをたどっても自分が行きたい目的地へのマークでないこともあるので注意が必要。ここは以前歩いた道なので自分を信じて慎重に歩く。

 

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1:50南岳(3032m)着。少しガスが切れ屏風岩が確認できたのでようやく位置関係が頭に描けた。道標右に見えるのがその屏風岩。

 

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南岳から小屋を見ながらが降る。小屋の先で頭をのぞかせているのが北穂高岳。

 

Cimg2014 昨日深夜から降った雪で雪だるまが作られていた。小さく見えるけれど体長1mくらい。

 

 

 

Cimg2017
小屋に入る前に北穂池を眺めると綺麗に紅葉していた。北穂池に行ったのは2008年9月で紅葉には早い時期だった。

 

Cimg2019PM2:00南岳小屋着

 Cimg20202009年9月のシルバーウィークに泊まったときと同じ『穂高の間』という部屋だった。今回は下の段に4人でゆったりだったけれど、2009年のときはここに10人ぐらいつめ込まれギュウギュウで寝た記憶。

 

Cimg2023
夕食は1回戦目の5時だった。お決まりのワンプレート。なかなかと美味しかった。

 

Cimg2025
夕食が済み外に出ると夕日が沈む頃だった。空もテントも人の顔もみな赤く染まった。

 

外は寒くて、写真を一枚撮ってすぐに小屋に戻

Cimg2028

夕飯時にもかかわらず到着する登山者が多かった。小屋番の対応をストーブにあたりながら見ていた。

なかでもPM6時に到着したソロの男性への対応は興味深いものだった。
「今日は何時に
どこ
から出発して、どのルートで小屋に来たのですか」
「新穂をAM7時にスタートして南新道を上がってきた」
「もう少し真剣に計画して山に登って下さい」
「・・・・・・・・・・

私も遅い到着の経験があるだけに耳が痛い話だった。遅い到着に甘んじていると、いつか痛い目にあう。3000mの稜線では生命を落とすことになりかねないので小屋番のこの注意は真剣に受け止めるべきことだった。

 

少しイビキが気になりながらも、知らないうちに寝ていった。

                                   づく

 

出発地  :槍沢ロッジ   1820m    AM5:45発
到着地  :南岳小屋    3000m        PM2:00着 
 
標高差  :          A      1198m          4時間43分      
                D           93m                  
 20分              
行動時間:                                        8時間45分
ピーク             3032m南岳 

 

 

 

 

 

 

 

 

2012紅葉 槍沢④ 分岐~天狗池

2012紅葉 槍沢③10/7(日)の続きです。

Cimg2210_2 上高地バスターミナルから2日かかっての分岐まで来ました。

 

 

 

Cimg19473 分岐から槍ヶ岳への道を右に分けて天狗原に向かう。

 

 

Cimg19478 Cimg1951
氷河の名残である岩屑ゴロゴロの天狗原まで来ると、
赤い反物を転がしかのような帯状のナナカマドが目に入る。去年のこのレッドカーペットは霜にやられてひどかったけれど、今年のそれは 顔がにやけものだった。

 

 

        この日の槍沢はくもり空でした。晴天の槍沢はここをクリック

 

レッドカーペットを眺めながら湯を沸かし[E:cafe]タイム。
遠くからでもみんな子どものようにはしゃいでいるのがわかる。

 

槍沢はいい。やっぱりいい。静かでいい。ここが大好き。

 

 

Cimg195313 ナナカマドのトンネルまで来ると、いつもは冷静な夫も、私にあそこに立てと写真撮影に夢中になる。そんなはしゃぐ我々見ていた年配の男性が優しい眼差しでふたり並びなさいと言ってくれたので・・・・・

 

Cimg1956
記念写真と相成る。
この間の立山山行に続き、  夫の還暦記念登山第二弾となった。ナンダカンダと記念日にするのは楽しい

 私のときはどこかな?・・・・それとなく言っていた 

 

 

 

 

 

Cimg1967_2 雲の切れ間から届く光一瞬にしてレッドカーペット色鮮やかにした。  高みから見惚れる。(望遠撮影)

 

 

 

Cimg19744 雨が降ってきてもおかしくない感じだった。

 

Cimg1972
天狗池を見下ろすところまで来ると、
一段と色に深みがる景色に変わった。 ここからの景色は私幸せを感じさせるものだった。 

 

Cimg1977 全山紅葉ではなく、岩稜帯に宝石箱をひっくり返したような、こぼれ落ちる様は私が望んでいた景色だった。  

 

 

Cimg19784 Cimg19826
稜線の重く垂れ込む雲
。当然には槍が映るはずもなく、それでもやってくる者、がっかりして帰っていく、諦められないで粘る者、いろいろな姿がそこにあった。ここを通過する我々も同じくくりの登山者として同じ気持ちで池にたたずんだ 

 

「天気ならココに槍が映るんだけどね~」「また来いということだ」「じゃ~また来ようね」「!!」とまた夫は墓穴を掘る。またここに来れることになりそうだ[E:scissors]

 

 

この先、標高にしてまだ400m上がらなければならない。昼食には早いけれどネルギー補給のため湯を沸かして[E:noodle]小さいカップラーメンと[E:riceball]を食べる山に入ると私は夫と同じかそれ以上に食べる。シャリバテでは目指す高みには行けないので、食べたいから食べるのではなく登りたいから食べるというのが本当の所。  

 

[E:book]登山用語でシャリバテとは、登山中におなかがすいて動けなくなってしまうことです。シャリは白米に限らず食べ物のことです。感覚的におなかがすいて動けないというのではなく、生理学的にも血糖値が下がって力が入らなくなってくることです。ひどくなると行動不能に陥ってしまいます。登山は、平地を歩くより多くのエネルギーを必要とします。持続的なエネルギーを供給するための炭水化物の補給は欠かせません。

 

 

Cimg198210 エネルギー補給後、大きな岩がゴロゴロある道なき道を分け入っていく。  

 

Cimg19828
道標には南岳まで2.1㎞とある。2時間で行けるかな?雨
心配しつつ 夢の世界に入っていった  

                        つづく

 

 

 

2012紅葉 槍沢③ 槍沢ロッジ~分岐

平成24年10月7日(日)[E:cloud]

おはようございま~す。4時半に起きてすぐに1回目(先着順・人数制限あり)の5時朝食の列に並ぶ。5時の食事に入れないとなると6時出発が難しくなるので皆必死。もっと早出のひとは小屋のお弁当を昨日のうちに入手する。

 

Cimg1935 今から登るには、このメニューではいささかエネルギー不足に感じるけれど(味噌汁とご飯はおかわり自由)、私はこれでいい。こまめに行動食を取るほうが私にはあっている。ガツンと食べたい人にはちょっとヒモジイかな?

 

5:45 [E:house]槍沢ロッジ(標高1820m)を出発。樹林帯をゆっくり登っていく。

 

6:30 ババ平(テント場2080m)着。ひとつしかないトイレの長蛇の列にいや~な感じがしたのでまさか行かないよねぇ?!と釘を刺すと、行きたいとのたまう夫。マジで最後尾に並ぶので「!!!去年もそうだったよ!バ~カ!小屋で行っとけ!このボケ!」と言いたいのをぐっと堪える。相棒がいる山行というのはガマンはつきものだけれど紅葉おあずけの私は怒り心頭。ブツブツ言いながらまたダウンを着こむ。

Cimg1939 Cimg1938
まったく困った相棒だ。他人だったらこういうヤツとは二度と一緒に来たくない。次々通過していく登山者を恨めしく見送る。トイレ待ち時間30分近く。お月様が西の空高くからそんな私を見ていた。

 

7:25 大曲通過。さらに登ると・・・ 

Cimg1942 ワォ~と歓声が上がる景色が現れる。この景色は何度か見ているが、初めての3段紅葉は素晴らしいものだった。

 

昨夜、雨音が気になりながら眠りについたのだけれど、実はその時から稜線では[E:snow]雪だったようだ。

 


[E:book]...。oо○**○оo。…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。

201210071_thumb これは↑帰宅してから見た岳沢小屋のブログから勝手に拝借。
                 
[E:book]…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。

 

これによると、この日、岳沢⇒前穂⇒奥穂や涸沢⇒奥穂は規制があったようだ。そんな事知らないものだから、槍沢の連中は稜線に向かっていた。

 

 

 

Cimg19432 呑気に何度も足を止めてはうっとり

Cimg19434
 Cimg1945

そして高みの景色を求めてエッチラオッチラ、名残のトリカブトに励まされながら登っていく。

 

Cimg19458 歩くにつれ変わるその景色に導かれ・・・・

 

Cimg19472
8:37 ようやく分岐についた。

ヘタレ夫婦はロッジから2時間50分。イイワケですが信じられない長いトイレタイムが入ってます。
参考までにコースタイム1時間40分ですが、これは休憩なしで歩き続けたタイムです。この紅葉の時期、これで登る人は少ないでしょう。でも2時間では登りたいなぁ。

 

Cimg19535
こんな↗深い谷底から這い上がってきたのを見ると、我ながら頑張ったと思います。(この写真は次に出てくる流れ落ちるレッドカーペットの
末端部分です)

 

では、今回はここまで。次回はもっとスゴイですよ。見てね。

                         つづく

 

 

 

 

 

2012紅葉 槍沢② 横尾~槍沢ロッジ

2012紅葉 槍沢①10/6のつづきです。

 
Cimg1921 横尾で十分な休憩後、11:40再び歩き出す。登山者のほとんどを涸沢に招き入れる立派な横尾大橋を左に分け、我々は静かな槍沢に入っていく。

 

 

 
[E:book]…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。 
 
201210062014273a8
                   
穂高岳山荘のブログより拝借(10/6PM4:00)
この連休の涸沢といえば、テント1000張り以上で小屋2件の宿泊客を合わせると3000人近い人口となるのが常。そんな時期にテント泊で2回訪れた私は2008年を最後に涸沢の紅葉は避けている。
 
確かに涸沢の紅葉は素晴らしい。だけど涸沢に行った人は、
その混雑ぶりを決まって愚痴る。それなのに年々怖いほど増加するのは何故だろう。一極集中することでニュースになり更に人を呼ぶっていう構図のようだ。私も当時はその括りに入っていたのだけどね。            
                   ..。oо○**○оo。…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。[E:book] 
  

 

 

槍沢に入った我々は、登山者に追いつきも追い抜かれもしない静かな道を少しずつ高度を上げていった。
 
 
木の上に
サルがたくさんいる所をまた通ることになった。人が他にいないだけに襲われないとも限らない。夫はイザという時のために木の棒を素早く2本拾い上げた。私を守ってくれるためだと勝手に思ったのだけれど、幸い被害がなかったので活躍の場は見られなかった。
 
 
槍見河原で湯を沸かし、
槍の穂先を眺めながらコーヒータイム。降っていく登山者に挨拶をすると、感動を分かち合う相手が少ない槍沢だけに皆決まって「槍沢の紅葉イイですよ~」と興奮気味に教えてくれる。人がごった返していたという愚痴が微塵もないので聞いていて気持ちがいい。答える側も素直に楽しみですと言える。
 
 

 

 
Cimg1924
ここはいつも決まって撮る景色。曇り空もまた良しの梓川源流。まだ紅葉していない。

 

 
 
Cimg19272
さらに30分上がるとだんだんいい雰囲気になってくる。

 

 
Cimg1928
さらに1時間上がるとワンダホ~な黄葉が現れる。やっぱり来てよかったと喜ぶ。

 

Cimg1931
PM2:07槍沢ロッジ(標高1820m)に到着。

Cimg1932
部屋は2階の奥の突き当り『あざみ』という部屋。予約の時点で混雑すると言われた通り、廊下にも布団は敷き詰められていたけれど、これはお決まりのパフォーマンスだった。我々はひとり布団1枚の畳の部屋を与えられたので上等な方だった。

 

小屋到着後しばらくしてザーと雨が降ったので冷えてきた。このロッジはお風呂がある(シャンプー石鹸の類は使用不可)ので体が温まってありがたかった。

 

Cimg1934 整然と並ぶザックと登山靴。皆マナーがいいです。

 

Cimg1933
我々は到着が早かったからか、夕食は1回目の5:00だった。お決まりのワンプレートにご飯と味噌汁。若者にはモノタラナイ量だと思うけれど私には充分。

「7:30の夕食の方は・・・・」という館内放送は聞いたが、まだ後があったかどうかはわからない。予約なしで到着が遅いと当然床に敷いた窮屈な布団で寝ることになる。 

消灯後、雨音を気にしながら9人の部屋で休む。多少のイビキを感じながらも、去年のように部屋を抜け出すことなく休んだ。

 

出発地  :上高地バスターミナル   1500m     7:00発
到着地  :槍沢ロッジ             1820m     2:07着 
 
標高差  :          A                         275m    1時間21分      
                D                            36m              10分              
行動時間:                                                     7時間10分


                                   
つづく

 

 

2012紅葉 槍沢① 沢渡~横尾

今年の紅葉は、去年のリベンジで北アルプスの槍沢に出かけました。

     [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple]

沢渡駐車場が満車になるのをおそれて、前日の夜に家を出て沢渡で[E:car]車中泊といういつものパターンです。沢渡(標高1000m)に到着したのは日付が変わった土曜日のAM2:00ころ。気温10℃。今宵の宿はなんとも贅沢な満天の星の下です。シュラフに潜り込んで休みました。

 
 

平成24年10月6日(土)[E:cloud]/[E:sun]

Cimg2176沢渡上から6:30のバスに乗って上高地入りする。今回は夫が相棒です。

 

 
 
Cimg1907 山をやるからには、河童橋から穂高を眺めるのはお決まりで素通りはできません。ピーカンではないけれどまずまずの全容です。

 
 

7:10 河童橋をスタートし梓川左岸を明神に向って歩きだす。
 
 
もうじき明神というころ、偶然というか息子に会った。
 
 
 

私は山に入るとき、一応息子に登山届をしておく。今回も連絡をしたら、偶然にも息子も同じ日に上高地入りするという。小梨平を過ぎると携帯は圏外になり連絡がとれなくなるけど、今回はお互いの目的が違うので、どこで何時にといった約束はしなかった。
 

お互いに少しでも時間がずれたら会えないのに、これは偶然ではなく必然だと思えなくもない。神降地のマジックか。10分にも満たない立ち話だったけれど嬉しいものだった。
 

 

 
 
Cimg1911
8時ころ明神に着く。穂高の主峰明神岳は曇り空のもと姿を現していた。
ここで朝食。明神館に入り、おでんを注文し[E:riceball]を食べる。このおでん、なかなかイケます。
 

 
 
Cimg1914
今回の行程は、[E:house]槍沢ロッジ泊(予約済)⇒天狗池⇒[E:house]南岳小屋泊(予約済)⇒槍ヶ岳⇒槍沢⇒[E:house]徳沢園(氷壁の宿)泊。

ところが徳沢園で予約をお願いしたら満員で断られてしまった。2010紅葉のとき飛び込みで泊めてもらえたので大丈夫だと思っていただけにガッカリ。ウカツだった。急に不安になり公衆電話から横尾山荘に予約を入れる。これですべてOK、安心して山に上がる。

 

 

 

Cimg1916 奥又白池や涸沢パノラマコースのときに渡った新村橋を左に分け、さらに梓川左岸を進む。ここまで来ると明神岳の見え方が変わる。奥から私もいますよと言ったふうに頭をのぞかせているのは前穂かな? 

 

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しばらく行くと、飛び降りてきたら怖いなと思うほどたくさんのサルが頭上にいた。人間が集まりすぎたのを感じ取ったのか、キーキーと泣く声が。それはボスの合図だったかのように、いっせいにサルたちは木から下りた。そしていったいどこからこんなに集まったのだろうという大集団が梓川の中洲を渡っていった。実に規律正しいサルの社会を垣間見た。

 

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横尾ではお決まりのお昼寝。曇り空だからちょっぴり寒かったけれど、遠くに前穂を眺めながら1時間ばかり休憩した。

 

そういえば横尾のトイレは長蛇の列だった。ひっきりなしに登山者が入ってくるから列はちっとも短くならない。てっきりテント受付の机だと思ったら、男性ふたりがそこでトイレの人数を数えていた。この時期の涸沢の人口は、2000人とも3000人とも言われて久しい。統計をとらなければトイレを増やせないのだろうか。涸沢のトイレもそうだが、ここ横尾も急務だ。

                                    つづく

 

 

2012立山④

平成24年9月17日(月・敬老の日)[E:typhoon]→[E:sun]

風の唸る音で目が覚めた。5:30起床。6:00朝食。

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さて、今日は黒部ダムの方へ降りようと思う。小屋番に道の状況を尋ねると、最近親子のクマを見かけるので注意するようにと教えてくれた[E:bearing]

昨日雄山でもらった赤い札の鈴をクマよけにザックにくくりつける。さらに夫は笛を首からぶら下げる。これでも出会ったら、やられるか、戦うか(夫が)、逃げるか・・・・。そういえば昨日のルート上にクマ目撃情報ありだっけれど、そんなこと忘れて歩いてた。

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                    クマよけに役立つかな?

 

7:40 クマ対策装備で一の越山荘(2705m)を出発。外に出るなり猛烈な風でたじろぐ。ダウンの上に雨具を上下着こんでいても寒い。もちろん手袋2枚。暴風が容赦なく体感温度を下げる。稜線はもっと寒かろうに。

 

 

東一ノ越に向けて歩き出すと、3人のパーティーがやってきた。これは幸い(クマよけ)とばかりに先に行ってもらう。

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実は夜中から気分が悪かった。食べ過ぎかムカムカと気持ち悪く眠れなかった。室堂に降りてバスに乗って帰るという選択肢もあるけど、念願のルートに背を向けるのはしのびない。谷に入れば風はやむはずだからとちょっと無理して歩き出す。力が出ず先のパーティーにどんどん離された。クマがひょっこり出てくるかも?

 

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                      ゴゼンタチバナ

 

Cimg1876 小一時間歩いたころ、東一ノ越が見えてくる。静かな登山道は我々だけ。快適。

 

Cimg1877 8:30 東一ノ越(2480m)着。先客が休憩していた。気がつけば気分もすぐれ、私はすっかり元気になっていた。雨具上下・ダウン脱ぐ。

 

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南のほうに見えるのは黒部五郎だろうか・・・イジワルな雲が峰々を覆ってわからなくしてるけれど充分楽しめるものだった。
やっぱりこっちに降りてきてよかった。人ごみに入っていくのは少しでも遅くしたいから。

 

Cimg1884                 東一ノ越から黒部湖方面の景色

 

9:05 黒部湖に向って急な坂を降りる。黒部湖までの標高差972m。黒部湖やロープウェイの大観峰の駅を見ながら降った。

 

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珍しい花ではないがミヤマリンドウが目に止まる。
立山三山を首が痛くなるほど見上げる。アレは雄山だろうか、それとも大汝だろうか。昨日歩いた峰を愛おしく眺める。

 

登り1名あり。黒部湖から東一ノ越までの標高差を考えると私は登らない。登った先に今のところ魅力あるものがないし。
 

 

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登山道に咲くリンドウ(左)とトリカブト(右) 秋の花は紫が多いかな?

 

Cimg1895 黒部湖まで下り一辺倒だと思ったら、ハシゴの登りあり。このハシゴは段が歯抜けになっておりすいすいとは登れなかった。この先も少し登って樹林帯に入っていく。

 

樹林帯に入ると夫はクマよけの笛をよく吹いた。一方私は手拍子付きで
「ある日、森の中、クマさんに出逢った、花咲く森の道 クマさんに出会った
[E:note]」
「お嬢さん、お逃げなさい~ラララランランランランラ~[E:note]」と歌う。エンドレスで歌い続ける。

Cimg1896歌も飽きてきた。爽やかな秋空に向って大きく伸びるシシウドに「ココって、いいところだねぇ」と話しかける。

 

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はるか上から見下ろしていたロープウェイを見上げるところまで降りてきた。観光客に
「うわぁ~い、こっちも楽しいよぉ~」と大きく手を振る。人工物を間近にしながらコーヒータイム。その間に5~6人降っていった。登山者が少なくって、ここは本当にいいコース。

 

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小一時間ほど樹林帯を歩いて黒部平(1828m)に出た。11:30
ここからロッジくろよんまでさらに歩く予定だったが、文明の利器の誘惑に負け、黒部湖までケーブルで降りることにする。 

 

その前に、予定になかったが黒部平の展望台に上がる。 

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すると昨日縦走した立山三山と今降りてきた東一ノ越からの景色が「どうだ!」と言わんばかりに立ちはだかっていた。こんな景色を想像していなかったので、このサプライズに、ワンダホ~と大声で叫び(たかった)、喜びのダンスも踊れるくらい興奮した。 なのに夫は冷静。チョットチョット!なんでもっと喜ばないの?と夫にくいつく私。

 

Cimg1903今度は黒部湖を眺める。「それにしても黒部湖の水、少なくない?」「高い所から見ると少なく見えるのかなぁ」と言いながら降りてきたのだけれど、その通り本当に少なかった。梅雨時の雨量の少なさで雪が解けなかった影響なんだと思う。水位低下ということで遊覧船は運休という張り紙がアチコチに貼られていた。

 

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黒部平から扇沢までの切符2340円を買い、ケーブルカーで黒部ダムに降りた。ちなみ立山駅から扇沢までの通り抜けは8060円。その内の室堂からここ黒部平までの3360円を今回歩いたというわけ。

 

F1000034 ダムに着くと、さっきまで冷静だった夫は眼の色を変え、かぶりつくようにダムをのぞく。それに比べ私は夫ほど興奮していなかったような・・・。これが男と女の価値観の違いというものなのか。温度差を感じた。

 

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放水ショーは迫力あったけれど、私は立山三山の景色の方に軍配が上がる。
このとき皮肉にもカメラのバッテリーがなくなり携帯撮影になってしまう。

ここなら10年20年後も生きていたなら来れるから、天気を狙ってまたこの景色を見に来ようと思った。そのときは室堂まで大枚はたいて行ってやろうとも思った。紅葉の時期がいいな。

 

夫は3回目らしいが、私は2004年に欅平から下ノ廊下を上がってきて以来2回目の来訪。でもそのときは12~3時間かけて雨の中、黒部川を遡ってきたのでクタクタでダムを見学していない。着替えてすぐトロリーバスに乗って帰ってしまった。だから今回は一の越からこっちに降りて見学したかったの。

 

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展望台までの長い長い階段は登山並みの登りだった。展望台というだけあって景色は素晴らしく、このお天気が私を更に山好きにさせたのだった。こっち(一ノ越→ダム)に降りてくるという選択肢は大正解だったと思わずガッツポーズ。ヨッシャー!

 

立山・黒部はまだまだ開拓の余地があると感じた。下ノ廊下から上がる口を確認してダムを後にした。

 

出発地  :一ノ越山荘 2705m   7:40発
到着地  :黒部ダム    1508m      1:35まで滞在 
 
標高差  :  A   185m                 28分      
        D   1358m          2時間53分              
行動時間:                            5時間31分

 

 

Cimg1914 1:35ダムからトロリーバスに乗って扇沢に出て、2:00のバスに乗って信濃大町に着いたのは2:35。

 

そして信濃大町駅15:22発ワイドビューしなの84号に乗って終点名古屋駅に着いたのは18:34だった。

 

長い旅だった。いつものことながら欲張った旅だった。そんな私に不機嫌ながらも付き合ってくれた夫はさぞ大変だったと今になって思う。ごめんねとありがとうです。いつまでも旅ができるふたりでいたいと思った。

                                      おしまい