2009藤原岳(孫太尾根)

お花に誘われ、孫太尾根経由で藤原岳に出かけました。
三重県いなべ市にある鈴鹿山脈のひとつです。

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2009年3月8日(日)

今日は山の会に参加。7時、夫の運転で自宅を出発[E:car][E:dash]8:10三岐鉄道「伊勢治田駅」に到着。我々車組みは電車組の到着を待って登山口に向かう。

ねらいはセツブンソウ(節分草)が咲く登山道であって、藤原岳山頂ではない・・・なんてへそ曲がりなことをあえて言ってみる。そう、お遍路で言えば、札所はただの通過点で道中が楽しみ・・・に似ている。

8:45新町に駐車し山に入る。実は朝起きたときに腰の右側が痛くて嫌だなぁと心配した。が、そんなことはじきに忘れる。

丸山に近づくにつれお花が現れる。ヒロハノアマナ、セツブンソウが出迎えてくれる。ヒロハノアマナはまだ蕾が多かった。曇り空なので開く気配はなさそう。

登り始めて1時間強で丸山に到着。ここはセツブンソウが群生している。リーダーの踏まないようにという声が何度も飛ぶ。

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落ち葉と比べればわかるように、草丈10センチに満たない可愛い山野草。セツブンソウが足元に寄ってきてくれているような気持ちになる。

私はちょっと広いところを見つけ、地面に這いつくばって可憐なセツブンソウの顔を覗き込む。

お花に興味のある方は写真を左クリックしてさらに左クリックしてアップにしてご覧下さい。

白の花弁に見えるのは実は顎片で、中心のピンクに見えるのは雌しべ。それを囲む青紫は雄しべ。そのまわりの黄色は花弁が退化した蜜腺だとか。咲いたばかりの花は色鮮やかで綺麗。だから私はこの花の観察は大好きだ。もう少し上手く撮れればと思うが出会えただけで満足だったりもする。

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ミスミソウ(葉が三角だからこの名がついたとか)が健気に咲く。茎に産毛がはえている。寒さ対策なんだろう。

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草木という標識を過ぎてから、一度降って目の前に聳え立つ藤原岳(標高1145m)に登り返す。あと一時間はかかるだろうと覚悟する。

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お昼まえの腹ペコ。力が出ない。木につかまって急登をのろのろと登る登る登る。
立ち止まって空を眺めてみる。心臓の鼓動がどくどくどく・・・脳天に響いた。

福寿草に励まされ、四つんばいになって岩場を登りきった。ここが昼食の場となった。

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湯を沸かし、カップ麺を食べる。晴天とまでいかないが、景色を堪能しながら麺をすする。

かすんでよく見えないが、伊勢湾を挟んで知多半島が見える。ついこないだお遍路で歩いた知多半島が一望でき何ともいえない満足感に浸る。食後のコーヒーがうまい。

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食後、20分ほどで頂上。白山が遠望できた。初めてのことだったので写真に収める。

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肉眼ではこんなに小さくしか見えない。望遠で撮ってみる。(右写真)白山はまだたっぷり雪をまとっていた。

下山は大貝道コース。ひたすら降りで2度ほど休憩をとり3:50下山した。藤原岳一般コースではなかなか見られないセツブンソウをたくさん見られ堪能した。

5:45自宅に帰る。ザックの片づけをして夕食作りに取り掛かる。お腹がふくれたらどっと疲れが出る。皿洗いはあとにして横になる。目をつぶる。セツブンソウの可憐さを思い出す。やっぱり出かけてよかったと思うこんなときが私は好きだ。

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2009御在所岳(三重県鈴鹿山系)

2009年2月15日(日)

三重県鈴鹿山系の盟主、御在所岳(標高1209m)に入る。

7:15夫の運転で自宅を出発[E:car][E:dash]
名古屋高速と東名阪道路を乗り継ぎ、8:20一番乗りで近鉄湯ノ山温泉駅到着。しばらく待つと次々仲間が到着。合計10名。取り付きへ移動する。

それにして2月というのに暖かい。静岡では昨日気温26度と天気予報が報じていた。立春が過ぎたと言えども馬鹿陽気にもほどがある。明日からまた寒気が来ると言っていたが。(本当に冷えました。風がつめた~い)

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今日のコースは本谷をつめる。
この陽気で雪も氷もまったくない。お陰で歩きやすいのだが、冬山の楽しみはない。

Img_1141 歩き始めて1時間、不動滝につきあたる。滝を眺めながら小休止。

左から滝を高巻いてさらに登る。

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大岩がごろごろしている。
昨年9月の集中豪雨の爪あとである。それにしてもこんな大きな岩を押し流すなんて、大岩を目の当たりにし、しばらく立ちすくむ。

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胎内くぐりとでもいうようなスリリングな岩くぐり。ザックを下ろしてくぐって穴を這い上がる。

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登り始めて2時間半ぐらいでようやく雪山らしくなった。と思いきや日陰だからであって、日なたは解けてまったくなかった。

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どんどんロープウェイの高度に近づく。乗客が手を振る。それにこちらもこたえて手を振る。
ロープウェイを真横に見て、最後頂上に這い上がる。あぁ、本当にいい景色だ。何度見てもそう思う。

頂上にはスキー場があってちびっ子がソリで遊んでいた。ゲレンデには雪が少なく、これではスキーヤーも来ないだろう。

頂上で湯を沸かしてお昼にした。

下山は一の谷新道。やはりこちらも昨年の集中豪雨の爪あとで、土が掘れてしまってひどいものだった。終いまで急坂で膝がくがくになった。

暖冬の今年は、もう冬景色はもう見られまい。
春のお花を期待することにしよう。

2009霊仙山(滋賀県)

2009年2月7日(土)

滋賀県米原市(鈴鹿山系の北端)に位置する霊仙山(りょうぜんざん)に7年ぶりに入る。

ちなみにこの山は、夏はヒルだらけの山ですから5月中旬~11月中旬までは入らないほうがいいです。私は夏には絶対入りません!(一度入って懲りました)

7:00自宅を夫運転のマイカーで出発[E:car][E:dash]
8:30仲間が待つJR醒ヶ井駅に到着。
大垣あたりで列車故障発生という情報あり。名古屋方面からJRで来る仲間を30分ほど待つ。

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 登山道案内板の現在地まで車で入る。もう4台もの先客があり。

2合目汗拭き峠まで登山道を行く。

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 その先、登山道を逸れて東の谷に入って行く。

2月の上旬だというのに雪が少ない。もう春を思わせる暖かさ。

Img_1109jpg95 目の詰まった等高線(急坂)を汗をかきながら消化していく。

この先で小休止。ザックを下ろすと背中から勢いよく湯気があがる。吸放湿性に優れているシャツだ。

Img_1110 谷を詰めてようやく広いところにでた。明るい。無風。

ちょうど12時ということで、ここで昼食タイム。湯を沸かしカップラーメンを食べる。
雪が解けている岩場では福寿草が一輪咲いていた。今に花盛りになる場所だった。
紅茶を沸かしながら景色に酔いしれる。至福のひとときを過ごす。

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12:30進路を北に向け頂上にアタック。

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12:55標高1084mを登りつめると360度展望が開ける。対峙する山は伊吹山1377m。これだけ雪がないと伊吹山も格好悪い。伊吹山から見る霊仙も同じこと。さらに北に位置する濃郷白山は真っ白だった。やっぱり雪化粧した山は綺麗だ。

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13:00霊仙のピークから西に向かう。写真ではわかりにくいが雪を被った山の奥に琵琶湖が見える。まるで海のように大きい。

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樹氷。これだけ暖かいので綺麗ではないが・・・・まぁ一応えびのしっぽはできている。

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本来ならここに綺麗な雪庇(せっぴ)ができるはずなのだが、この暖冬ではできるはずもない。残念。

この先、雪がたっぷりある快適な樹林帯を30分ばかりざくざく駆け降りる。実に快適。

それからがいけない。雪が解けぬるぬる・どろどろ(湯煎したチョコレート状態)のなかをへっぴり腰で降る。靴底におおきな泥団子をこさえてしまったので難儀した。

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行きに登った谷に戻り、一般登山道に出て1合目にあるカナヤ小屋に2:00到着。

Img_1132_2 こてこてについた泥団子を落とす。が簡単には落ちるはずなく難儀した。

私以外の仲間は今晩この小屋に泊まって、またこのあたりを徘徊する。
とにかくモノズキな仲間たちである。

 

2009福王山(三重県鈴鹿山系)

2009年1月28日(日)

1年ぶりぐらいに山の会に参加した。
今日は福王神社へ初参り登山。

集合場所の大安駅に着くと・・・・
「久しぶりやんか~どないしてたん?」(鈴鹿の人は関西なまりがある)
忘れられていなかった。ほっ[E:coldsweats01]

電車組みはマイカー組に便乗して福王神社駐車場まで行く。
今日の私はマイカー組(夫運転)なので、あとふたり乗せる。

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この写真は2008年3月のものですが参考までに。行きはノーマルルート(参道)を行く。

Img_1072 30分ほどで奥の院。そんなに雪はなかったので楽々来れた。2008年3月のときは、ここ奥の院で昼食だった。

このあと福王山(H598m)を踏んで、日当たりのいいところで昼食。
おでんを温める人、カップラーメンを食べる人、それぞれで楽しい。
私は今日はパンとコーヒー。

さて降り。
行きはよいよい(ノーマルルート)帰りは怖い・・・・

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あの尾根を行って、あの谷に降りよう・・・・というリーダーに従う。

上の写真は決して遭難したのではありませんからご心配なく。

倒木をまたいでまたいで・・・とにかく「道なき道を行く会」なのです。[E:bearing]

頭に地図が入っていない私は、どこに降りるのか見当もつかず、ただひたすらリーダーについていくだけでした。

このあと、今日のイベントである「ぜんざい大会」をした。
たくさん作り過ぎて、3杯(3杯目はずるして軽めに)も食べた。

2009鳩吹山(愛知県犬山市)

2009年1月17日(土)

今年初の山行は、足慣らしに愛知県犬山市と岐阜県可児市の県境にある鳩吹山です。

地下鉄小田井で名鉄電車に乗り継ぎ、名鉄可児川下車。鳩吹山を眺めながら大脇登山口まで20分ばかりとぼとぼ歩く。

Img_1059 大脇登山口からノーマルコースを30分ほど登ると小天神着。

今日は風もなく快晴。
製紙工場の煙突からの煙は風になびくことなくまっすぐ上がっていた。
ここからの景色が私は好きだ。
(その景色は以前のブログで→ここから)

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小天神から数分で鳩吹山(標高314M)頂上。

ここからは白山も見えるのだそうだが私は見たことがない。

Img_1061 鳩吹山頂上からは1番遠くに見える山を目指す。

快晴・無風に近い道をのんびり歩く。

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アップダウンをいくつか繰り返して歩く。足慣らしにはいい山である。

途中、お湯を沸かしてお昼。
陽だまりのなかでのカップラーメンはお腹も心も満たしてくれた。
食後のコーヒーというフルコースを終え、どっこいしょと腰を上げる。
いつも思うことだけど、お腹が満たされたあとの山歩きは最高に幸せを感じる。

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最後の登り継鹿尾山を目指す途中で振り返る。

遠くに鳩吹山が見えた。低い山だけど、あんな遠くから来たのだと感慨に浸ることができた。

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東海自然歩道に入るとこういう掲示板が目立つ。

ごろすけほっほ[E:note] 小学校の音楽の時間に歌いましたよ。

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継鹿尾山の大きな東屋で甘酒を作って一服する。
木曽川から吹く風がちょっと冷たかったけれど、生姜の利いた甘酒を飲みながら景色を堪能する。5年ぶりに見る景色は新鮮だった。

Img_1069 このあと寂光院に降りる。

寂光院は紅葉が有名なのだが、私はその時期に訪れたことがない。いつか紅葉の時期にここに降りたいと思っているのだが、その時期は他にも出かけたくてついつい後回しになっている。

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こういう案内板を読むと地元にいながら「へぇ~」とか「そうだったねぇ」とか改めて勉強になる。

急坂を降って無事寂光院奥の院に到着。
鐘を突き、今年初山行無事のお礼参りをした。

奥の院を降る長い階段はいつもお掃除が行き届いており気持ちがいい。
カラフルな前掛けやあったかそうなニット帽を被るお地蔵さんがたくさん鎮座しておられる。中にはマフラーしているお地蔵さんも居られた。
階段の手すりに助けられながらよろよろと下山。

このあとさらに歩いて、交通安全祈願で有名な成田山にもお参りした。
四国八十八カ所お砂踏みもあるそうな・・・
小彼岸桜の園芸品種という大きな十月桜が5~6本綺麗に花をつけていた。
名古屋駅のツインタワーが遠望できた。あぁ・・・私の棲み処はあそこなのだなぁと人ごみのなかに戻りたくないような気持ちで眺めた。

犬山遊園3:58発の電車で4:30過ぎに自宅の最寄り駅に帰ってきた。

楽しく山仲間と過ごせ、とても幸せな日でした。

心強い相棒

 

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2004年5月に購入したこの登山靴(スカルパ)を2回目の靴底修理(¥25000)に出した。
まだこのシリーズは販売されているので、新しい靴を買うことは容易にできたのだが。

山での急降下の連続だったり、滑りそうな岩場で、この靴は本当に頼りになるのだ。
今では私の癖も読み取ってくれており具合がよく絶対的な安心感がある。

悪天候12~3時間へとへとの縦走のときも、絶景を見たときも、この相棒とだった。
苦楽を共にしてきたお守り的存在の思いがあるだけに、そうは簡単に新しいものに履き替えられない。

深い溝がある靴底を眺めながら、あちこち歩き回る空想をした。

北アルプステント泊④(北穂高岳)

2008年10月13日

目が覚めたら5:50。

      

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 前穂北尾根の影が北穂にくっきり

しまった!
急いでテントから顔を出すと外はもうすっかり明るかった。
涸沢の夜明けを見損ねもったいないことをした。

なるべくザックのかさを減らしたい。
ならばと食べる機会を逃したカップラーメンを食べる。
山は寒いので朝にカップラーメンは嬉しい。

寝坊したので、ゆっくり山を眺めている余裕がない。
急いでラーメンをすすり、テント撤収に取り掛かる。

テントは次々と畳まれ、カールの彩がひとつまたひとつと消えていく。
それはさみしい気がしないでもない情景だった。

7:00ヒュッテのトイレは長い長い行列だった。
どうも30分は並んで待つようだ。
仕方なくトイレはパスして、パノラマコースを下山する。

      

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前方の屏風岩を目指して歩く。

このパノラマコースは先月に続き2回目。
涸沢カールを振り返り振り返りして進む。
紅葉の登山道はとても気持ちよかった。

危険な箇所に差し掛かると大渋滞にはまってしまった。
(残雪期は通行不可)
そのかわり涸沢カールや槍ヶ岳を思う存分眺められた。
渋滞していてよかったと思ったほど景色は素晴らしかった。

屏風のコルに荷物をデポして屏風岩に上がる。
今日の眺望は最高のはずだとわかっているので胸が高鳴る。

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それは想像以上の景色だった。

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[E:upwardright]北穂高岳~南岳のカール(左俣カールまたは本谷カールともいう)がくっきり見えた。
(是非大きな画像で見てください)

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[E:upwardright]右俣カールもそれはそれはくっきり見えた。
その先の槍ヶ岳はやっぱり立派です。
(肩の小屋まで見えました)

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前穂高も立派だった。(右側の北尾根は迫力があります)

[E:note]アルプス一万尺[E:note]屏風の上で[E:note]アルペン踊りを[E:note]さぁ踊りましょ。

屏風岩は一万尺ないが、そんな小躍りしたくなる気分だった。

 
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涸沢カールには前穂北尾根の影が落ちていた。
涸沢名物のテント村はもうなくなっていた。

「今回はどうもありがと~!」と何度も心の中でつぶやき、そして穂高に別れを告げた。

[E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] [E:maple] 

屏風のコルに戻り、よっこらしょとまたザックを担ぐ。
そして梓川に向かって下山した。

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その後も紅葉が私の目を楽しませてくれた。
本当に素敵な道だった。
天気に恵まれ、最後まで本当に楽しかった。

梓川に降りてから新村橋を渡って徳沢に寄った。
カレーライス(850円)を食べる。
スパイスがきいていて、久しぶりにおいしいものを食べた気がした。

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明神岳がこんなに綺麗に見えたのは初めてだった。
今回も無事戻って来れたこと、穂高の神様に深く頭を下げた。

その後、梓川左岸から西穂高岳がくっきり見えた。
この道は何度も歩いているが、ここから西穂を見たのは初めてのことだった。
あぁ、あの西穂にも立ったなぁと感慨ひとしおだった。

毎度のことだが河童橋に近づくにつれ、観光客が目に付く。
観光客に迷惑がられながらバスターミナルに向かうと長蛇の列が目に入った。
なんと、それはバスを待つ行列だった。

始めからタクシーで沢渡まで降りるつもりだったので、そちらに向かった。
バスほどではないがタクシーも列をなしていた。
涸沢だけでも2000人ほどの登山客が降りてきているのだろうから、ターミナルはものすごいことになっていた。

タクシーは15分ほどで乗ることができた。
30分ほどで沢渡茶嵐についた。
マイカーに乗り換え「せせらぎの湯」に立ち寄って汗を流した。
とてもいい湯だった。

そのあと松本ICまでは混んでいたが、高速道路は順調に名古屋まで走れた。

北穂高山行記、最後までお付き合いありがとうございました。
来春までは、地元鈴鹿の山を歩き回る予定です。

では、また。

 

北アルプステント泊③(北穂高岳)

2008年10月12日(月)

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まだ夜中だろうと時計を見たら4:45だった。
しばらく暖かいシュラフのなかでまどろむ。

テントから顔だけ出して外を見る。まだ真っ暗だ。
あるものすべて着て、まず湯を沸かす。
気温3度、風はない。

[E:upwardright]5:28 真っ暗だった空が青白くなってきた。
頂上小屋ではご来光ショーが始まるころだ。 
まだ夜明け前の涸沢カールの住人たちは、懐中電灯の明かりを頼りに支度に忙しい。

ザックの中でぺっちゃんこになったパンをあったかい[E:cafe]コーヒーで胃袋に流し込む。

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[E:upwardright]5:33刻一刻と空は明るくなり、穂高稜線が浮かびあがる。
涸沢の夜明けである。

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[E:upwardright]6:00テントサイトを出発する頃、北穂高岳は黄金色に陽を浴びていた。
今日の目的地は、この陽があたっている北穂高岳(H3106)。

テントサイトが標高2300なので標高800ⅿ稼ぐことになる。
3時間の行程である。
余分な荷物はテントに置いて、足取り軽くテントサイトを出発する。

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6:20 涸沢小屋の横から登り始める。
日当たりのいい草付の斜面を登っていくと、登山靴で掘り返された霜柱が見られた。
もう冬なのだ。

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南稜の登山道に取り付くまで、右手に東稜を見ながら登る。

先月の山行のことばかり考えながら登った。
北穂池からいったいこの東稜のどこに上がったのだろう?
目を凝らして稜線に目をやるがはっきりわからない。
北穂沢に降りた口は見当ついたが、ザイルなしで降りるルートは私にはわからなかった。
バリエーションルートだということはよくわかった。

東稜には、物好きな登山客3人が見え隠れしていた。
彼らはどこをどう進もうか迷っているようでもあった。
とにかく私はわき見(東稜)ばかりしていた。

そんなときだった。
かなり上のほうから『ラ~ク!』 『ラ~ク!』 『ラク~~!』と大声が飛ぶ。
北穂沢上部からの落石だった。

石の塊は急斜面ゆえにどんどん加速度を増し、バウンドするたびに猛威をふるった。
「来るな!」という願いもむなしく、1番大きいヤツが大きな弧を描きながらこちらに向かってきた。
当たってたまるものかと石の塊をにらみつけた。

私の5メートルほど前方の岩陰に吸い込まれるように落ちたときは恐怖におののいた。
「今度はどっちに跳ねるんだ!」
こちらに跳ねたら真横から飛んでくるはずだと咄嗟に思った。
そうなったら近すぎて避けられないぞと足がすくんだ。
が、小石が縦横無尽に飛び散っただけで狂った親玉はここで止まってくれた。

先月に続き、北穂沢の洗礼は強烈だった。

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南稜に取りつくはしご下は、登る人、降りる人で大渋滞だった。
いくら登り優先といえども、そんなことしていたら下山できない。
適当なところで降りてきてもらう。 
はしごを登り、クサリ場を三点確保でよじ登った。

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南稜に上がると涸沢岳への縦走路(最低コル)が見え出した。

それはのどから手が出る縦走路だった。
実は当初、夫と2人山行で北穂~涸沢岳縦走のつもりだった。
が、友達との4人山行にしたとき、安全を考え北穂高ピストンに変えた。
だからこの縦走路を見たとき、内心「これを行けないなんて、あぁ・・・・惜しいなぁ」と思ったのだ。

そのかわり、天気がよく眺望は最高だった。

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[E:upwardright]前穂高岳北尾根越し、遠くに富士山が見えた。
(写真をクリックして、是非大きな画像で見てください)
左から、八ヶ岳~富士山~南アルプスが雲海に浮かんで見えた。

        
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20張り(番号制)のテント場を過ぎ、北穂南稜の分岐を過ぎると、[E:upwardleft]北穂北峰頂上直下に出た。

10分ほどで・・・・・

        
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目前に槍が見えたと思ったら頂上だった。
360度さえぎるものはない、雲ひとつない素晴らしい眺望だった。
いつものように、見える山をひとつずつたどる。


水晶~鷲羽~二俣蓮華~双六
薬師・(黒部五郎)・(笠)
白山
剱・白馬・唐松~五竜・(鹿島槍)・(針ノ木)
燕~大天井~横岳~常念~蝶
前穂~奥穂~(ジャンダルム)涸沢岳
八ヶ岳・富士山・南アルプス・浅間山・・・・・・・

ピークを踏んだ山と稜線(~)には、あの時はありがとう。
そして未踏の山(かっこ内)にはいつか行きます・・・・と心の中で言った。

そのとき北穂池の存在を忘れていることに気づいた。
ピークから見えると思って探しても見えない。
見えるほうにどんどん進んだら北穂小屋のテラスの端の端だった。

   
        Img_0845 ←クリックして大きな画像でご覧下さい

足元に北穂池が見えたとき、「お~い」と池に声を掛けたい心境だった。
とても近くに感じた。(実際は標高差630)
ルートはないからあそこから登ったらここまで3~4時間はかかるはず。
右奥にそびえ立つ常念岳と北穂池を交互に目をやっては至福のときを味わった。

そして槍への縦走路をチェックする。

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なるほど大キレットは惚れ惚れするほど凄かった。
自分の足元から槍へ、そして槍からまたこちらに目をやる。
何度も何度も稜線を目でたどった。

雲で隠すことなく全貌を見せてくれたということは、どういうことなのだろう?
いつか来ますか?やめますか?
私は槍に試されているように感じた。

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この縦走をやらないなんてもったいなくはないだろうか。
ここにこそ山の楽しみがあるのではないだろうか。

縦走路になっている北穂小屋のテラスで頭をかかえた。

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[E:upwardright]涸沢のテントが米粒のように小さく見えます。(標高差800m) 
興味のある方は、写真をクリックして1番大きな画像で見てください。
明日のルート(ヒュッテ裏からのパノラマコース~屏風岩)もよくわかります。

  
              

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[E:upwardright]北穂北稜から南稜を見る。その奥は奥穂高岳~ジャンダルム

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[E:upwardright]北穂南稜から涸沢岳への縦走路もしっかり下見する

            Img_0855  

[E:upwardright]前穂北尾根と涸沢カール

             Img_0856    
[E:upwardright]常念岳~蝶が岳。右の赤いのは屏風岩(H2565)

十分景色を堪能して12時下山し始める。

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来た道を忠実に降ること2時間、行きには気づかなかった紅葉に出会う。
思わず魅入る。

さらに降ること数分で・・・・

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息を呑むほどの美しさだった。
ナナカマドの赤・ダケカンバの黄・ハイマツの緑・ザレの白・岩の黒。

            
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14:21涸沢小屋に無事降りた。
小屋のテラスは暖かいものを買い求める登山客であふれていた。

テントに戻ったのは15:30。
着替えを済ませ、カールを散策した。
少し登ると涸沢カールに池があることを発見した。
あっても不思議でないのだけれど、大発見した気になった。

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涸沢はこの大勢の登山客を優しく包み込んでいた。

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夕飯は、テントサイトでアルファー米のえびピラフを食べた。
お湯を注ぐだけで食べられる優れものだ。
甘いものを口に入れ、あったかいお茶を飲む。
幸せこの上ない。

寒いのでシュラフにもぐる。

目を閉じた。

脳裏に焼きついている雄大な景色、鮮やかな紅葉が浮かんでは消える。
穂高よ、槍よ、涸沢よ、ありがとう。
穂高に包まれ幸せな気持ちで眠りについた。

つづく

 

 

北アルプステント泊②(北穂高岳)

          前日 

 

2008年10月11日(土)

「現在の気温11℃」のなかで目が覚めた。
昨晩は寒くもなく快適だった。

5:30[道の駅]から[沢渡茶嵐駐車場]へ移動する途中、予報どおり雨が降り始める。

駐車場は2泊3日で1500円。
(月曜日戻ってきたときに聞いた話だが、この土曜日は5~6箇所ある沢渡の駐車場はどこもいっぱいで、松本ICを降りたあたりから渋滞だったそうな。名古屋を朝に発っていたらとうてい駐車できなかった)

駐車場でタクシーを頼む。
近年、上高地まで4000円の定額制になったので4人集まればバスの片道と変わらない。
我々を乗せたタクシーは満員のバスを追い越し、釜トンネルをスイスイ走って20分ほどで上高地に入った。

           

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晴れていたならば満員のベンチも、この雨では誰一人寄り付く気配なし。

全国から集まったアルプス病患者の行列がここから始まる。
それにしても雨具はカラフルで綺麗だ。

6:50私は傘を差して歩きだす。(ほぼ平坦な横尾までは傘で体力温存)
この雨では、上高地を楽しむどころでない。
「横尾までには雨よ上がってくれ」と祈りながら歩いた。

8:00第一休憩所の[明神]に着く。
ものすごい登山客である。
我々は、ここで朝食。
わずかな軒で雨をよけながらおにぎりをほおばる。ちょっと寒い。

次の休憩地点の徳沢に向かうころ雨が小止みになってくる。
しかし止むでもない様子に「涸沢に着くまでには雨よ上がってくれ」と許容範囲を広げ祈る。

           

          Img_0755jpg90    

[徳沢]に着いた途端、雨が上がる。
私をはじめとする登山客の願いが通じたのだと思った。

[E:upwardright]暗かったテント場に光が差し一気に明るくなる。
やっぱり上高地はこうでなくっちゃ、と、小さくガッツポーズ。
「また来たよ。帰りも寄るからヨロシクネ」とハルニレの大木に挨拶する。

その後、どんどん青空が広がっていった。
本当に嬉しいな・・・と何度もつぶやく。

梓川を挟んだ前穂高を眺める[E:downwardright]
登山客の多くを立ち止まらせるこのスポット、何度見ても素晴らしい。
雨で洗われた山は色濃く、全容を見せずとも、どっしりとした風格があった。

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日が差し暖かくなってきた[横尾]は、登山客であふれかえっていた。
雨具を脱ぎたたむ者、パッキングしなおす者、食事をする者、どの顔も楽しそうだった。

ここから槍に上がるものと涸沢に上がるものが分かれる。
が、8:2で涸沢がほとんどでしょう。

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[E:upwardright]10:38横尾大橋を渡り涸沢に入っていく。
標高700mを3時間で上がれるかな?

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紅葉の屏風岩はまた格別だった。
何度も見上げては綺麗だとつぶやく。[E:upwardleft]本谷橋に11:47着。

この先は、大行列で進むことになる。

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左)本谷橋から30分ほど(12:53)涸沢をどんどん詰めていくと右奥に涸沢カールが見えてくる。
右)さらに30分登ると遠くにヒュッテとテント場が見えてきた。
が、まだまだ1時間登らなければザックはおろせない。

このころから背中のザックが肩にずっしりきて、肩も足もきつかった。
(今回の夕食は小屋でとることにしたのでザックは14㎏ほどだが、それでも久々のテント泊の荷物は重くきつかった)

[E:upwardright]右のような写真が見えてきたころには、太ももがさらに重くなり思うように上がれない。
テント場までの最後の10分は、きついきついきつい・・・・自分の足でないようだった。

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満員のテント場で、よい物件を探す。
よし、ここ!とザックをおろしたのは14:18だった。

大行列だった割には、本谷橋からコースタイムで来れたようだ。
北アルプスの紅葉に包まれたら、きつかったことなんてすっかり忘れていた。

このテント村の住民票(テント申込)提出も長蛇の列だった。

今年のテント場は、史上最高の600張りだったそうです。
それにしてもすごいですね。

テント設営後、湯を沸かし一息つき、1時間ばかり横になった。
テントの良いところはこれですね。

日が沈むと気温が一気に下がった。
5:30から涸沢ヒュッテで夕食(2000円也)をとる。
(荷物軽量化のため今回はヒュッテで夕食を頼んだ)

このとき、先月北穂池のガイドに偶然出会う。
そりゃ出会っても不思議でもあるまい。
なにせ、この連休の涸沢人口は2300人ほどになるそうですから。

テントに戻り8時には寝た。
ちなみに、ヒュッテも小屋もどちらも1畳に3~4人の込み具合だそうな。
どうやって横になるのでしょうか?
喧嘩勃発が目に浮かぶ。
あ~コワイ。

それに比べテントは、煩わしい人間関係は皆無。
(夫とのいざこざはちょっとあっても、気遣い無用の相手だもの気が楽)

エアーマットを敷いても背中は多少痛いが、そんな不自由は承知のうえ。
どれだけ不自由で不便があっても、ゆったり横になれるこの個室空間は平和そのものだった。
カバーをつけた万全のシュラフにもぐりこみ、おきまりのせりふを。
あぁ~極楽・ごくらく・ゴクラク・・・・平和だねぇ・・・・。

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10月5日撮影の涸沢紅葉を10月24日(金)NHK午後7時半から金とくで放映されるそうです。(詳細はクリックして下さい)

こうまでしてアルプス病患者を魅了する紅葉はどんなものか、一度ご覧下さい。

つづく

北アルプステント泊①(北穂高岳)

2008/10/10(金)

午後6時半。
上高地の天気予報の最終チェックに「よしっ[E:scissors]」と確信を持って家を出る。
(11日の[E:rain]/[E:cloud]は許容だが、12・13日の[E:cloud]は[出かけない]or[行き先を変える]だったので安心した)

今回は車・テント山行。
メンバーは、友達夫婦と我々夫婦の4人。
行き先は、飽きもせず涸沢。

目的は・・・・
①涸沢紅葉[E:maple]
②北穂高岳登頂
③北穂池を北穂高岳から見下ろす
④北穂高岳東稜を見下ろす
⑤屏風岩から槍ヶ岳~北穂高岳~奥穂高岳のカール3つを見比べる
⑥北穂高岳~涸沢岳~穂高岳山荘~ザイテングラート~テント場縦走。
⑦槍ヶ岳~北穂高岳の縦走路の下見

以上、番号は優先順位です。

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名古屋高速道路~中央道を乗り継ぎ、松本で車を降り、順調に上高地に向かう。

上高地へはマイカー通行禁止なので、明朝、沢渡からバスまたはタクシーで入山する。

今晩の宿は、毎度お世話になっている沢渡手前の道の駅(22:10着)。
駐車場にはテント張っている先客ちらほら。
前回(2002年9月末)は、軒先でシュラフにくるまり野宿したが、今回は、女ふたりは車で、男ふたりは簡易郵便局出張所の囲いを借り宿泊。(すのこがあり快適だった・・・男衆談)

遠くの道路標識は「現在の気温14℃」と点滅していた。
寒くもなく暑くもなく、快適な寝床だった。

つづく