2010北アルプス横断(一の沢登山口~新穂高)3日目後半

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平成22年7月20日(火)後半[E:sun]/[E:cloud]

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3日目後半
6:45、槍ヶ岳山荘(標高3086)を出発。
信州(長野県)と飛騨(岐阜県)の県境にあたる西鎌尾根を降る。

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今日のルート↑は紫色です。 約350m降って千丈乗越(標高2734)へ。

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歩き始めは日陰だったが次第に日があたり暑くなってきた。千丈乗越から奥丸山までが一望↑できるようになり、あれを行くんだなとルートを確認する。

飛騨沢を見下ろすと、昨晩、山荘の談話室でおしゃべりした北海道釧路の7人のパーティーを見つけた。大きく手を振ってみたがやはり気づいてもらえない。やがて樹林帯に消えていく彼らを「また来れるといいね」と見送った。

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飛騨沢に落ちる自分の影とイワツメクサ↑。風もなく静かな西鎌尾根だった。

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7:42千丈沢乗越着。振り向いて槍を見上げる↑とずいぶん降ったことがわかる。

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この千丈沢↑は天井沢と合流する。その地点が『千天出合』といって北鎌尾根の取り付きらしい。千天は高瀬川となって高瀬湖に流れ着く。

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千丈乗越からは進路を南にとり、足元が悪い樹林帯を大きく降る。すると予想通りクロユリ(草丈20cm弱)が咲いていた。腰をかがめ覗き込んで挨拶する。うん綺麗だ。

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朝露がズボンの裾を濡らす。8:07分岐に出た。マイナーなルートなので不安だったが道標があって安心した。笠ヶ岳は雲に覆われ始めた。それでもこちらは日差しは強く暑かった。

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左)コバイケイソウ  今年は群生は見られなかった。

右)キヌガサソウ  ピンクになっているので開花してから日にちが経っているようだ。

 

ナナカマドはたくさん花をつけていた。紅葉の時期もいいはずだ。足元はハクサンフウロのピンクがアクセントとなり、私好みの道になっていた。

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8:55、飛騨側から雲が涌いてくる↑。あぁ、もう少しこの景色を見せておくれ!と雲に頼んだ。

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左)ヒメイチゲ  草丈5~10cmほどでとても可愛い。地面に這いつくばって撮影する。

右)ギンリョウソウ  葉緑素がなく白い。日陰に咲く。撮影がてら休憩した。

 

消えそうな登山道をなぞりながら進む。アップダウンを重ねてもなかなか分岐に出ないので不安になったが、この道しかないので進んだ。

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9:56標高2356。槍平小屋から上がってくる分岐に着いてほっとした。水分補給していると黄色が目に飛び込んだ。登山客を激励するかのように咲くニッコウキスゲだった。ありがとう。そういう言葉が自ずと出た。

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来た道を振り返る↑。千丈乗越から2時間10分。汗だくになって歩いた道が見渡せ、意外と大変だったなと感慨にふける。

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奥丸山(標高2439)に着いたのは10:20。そのころの穂高稜線は雲にからまれ簡単には明けそうになかった。槍ヶ岳山荘で買った焼き立てのクロワッサンをここで食べようと楽しみにやってきた私はがっかりだった。

 

10:35、奥丸山を出発。さらに南に1時間ほど中崎尾根を行く。通る人が少ないから踏み跡が狭いが道はわかりやすかった。

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樹林帯に入って間もなく、わさび平に降りる分岐に出た。↑11:27標高2159。3日間私を楽しませてくれた穂高とここで別れることになった。(写真奥が穂高)

 

ここから標高600強降ることになる。
この登山道は5年前(2005年)にできた新しい道で、踏み跡がしっかりしていない。初めの350(標高1800mまで)は、木の根を跨いだり、掴みながら降る連続で難儀した。 

 

何度目かの休憩で携帯メールが入っていることに気づいた。メールの文字は、私がやり遂げようとしていることを応援してくれるものだった。私は1時間続けて歩けないほど疲れていたが「標高100mずつ下降!」を自分に課して、それを繰り返そうと決めた。何度目かには目的地に着くのだということを思い出させてくれるメールだった。

Img_3444                                 12:46クモキリソウだと思います

 

そういえば中崎尾根から降り始めてまもなくのこと。何か小さなものが私の足元を横切った。目が慣れてくると、色は茶色で体長3センチほどの『小さなカエル』だとわかった。1時間の下山中に、100匹とは言わないが少なくとも50匹のカエルが、どこからともなく現れてはピョ~ンと草むらに消えていく。次第にわかってきた。『無事カエル』。「この最後の降り、気を抜かずにね」とカエルが教えてくれているように思えた。

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標高1800を過ぎると、道が落ち着き歩きやすくなってきたが猛烈に暑くなった。中崎尾根から500降り標高1650になったころ、沢の音が聞こえてくる。地図ではまだ先のことなので諦めていたら、近くに小さな沢↑を見つけた。倒木を跨ぎ、帽子を脱ぎ捨てながらその沢に駆け寄った。顔をざぶざぶ洗う。冷たくて最高だった。一息つき仰いだ空は緑一面で何とも清々しかった。

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顔を洗った沢の下流を渡り、地図に載る下丸沢(↑左)を渡る。そして下丸山を回りこむと蒲田川に架かる立派な橋(↑右)が見えてきた。橋の奥から双六方面から降りてくる登山客が見えた。そういえば飛騨沢を降る北海道のパーティ以来、登山客を見ていなかったことに気づく。何だか下界が恋しくなっていたようでもあった。

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立派な橋に着いたのは 1:45だった。
←蒲田川を渡って左俣林道に合流する。

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やれやれと今降りた山を見上げ→感慨にふけりながら林道を歩いた。

 

 

わさび平小屋に2:10到着。標高1450。ここで裸足になり沢に足をつけていると、明日山に入る暇そうな登山客たちに捕まった。私はまだ新穂高まで歩かなければならないので、いつまでもおしゃべりはできない。切がいいところで「よい山旅を」と言って別れた。

 

わさび平小屋から笠新道登山口を過ぎ、新穂高までの林道歩きで3日間を振り返った。
初日の大天井までの登り、2日目の大槍ヒュッテまでの登り、3日目の中崎尾根からの降りを思い返しながら苦笑した。槍から見えた景色のように、私のこころの視野も少しは広くなってくれているといいのになぁと思った。
歩き残した道をこの先どう歩こうか・・・と、あれこれ考えているうちに林道ゲートに着いた。3:20標高1150mだった。

 

平均上昇率(1分あたり)     5m
垂直上昇高度の合計    450m    

平均下降率(1分あたり)   6m
垂直下降高度の合計
   2007m

上昇/下降の回数      3回(標高差が50m以上でカウント)

総時間         9時間33分(休憩含む)

 

 

ゲート前にあるニューホタカの『日帰り入浴500円』の看板を我慢して見送った。なぜって、その先の温泉に入る計画だったから。でも計画なんてもうどうでもよくなった。きびすを返しニューホタカで3日分の汗を流した。お客はゼロ。贅沢にも貸切だった。あっちは300円高いし、絶対混んでいるはず。計画変更してよかったと思った。

 

新穂高も上高地もどちらも好きだが、どちらから山に入りたいかと問われれば、今の私は観光地化していない新穂高のほうが好きです。新穂高からのコースをまた考えていますが、いつ実行できるかは天気次第です。

これで北アルプス横断は一応おしまいです。長い間お付き合いくださってありがとうございました。

2010北アルプス横断(一の沢登山口~新穂高)3日目前半

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平成22年7月20日(火)前半 [E:sun]/[E:cloud]

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早朝4時過ぎ。↑日の出ショーが始まろうとしていた。何といっても常念のシルエットは品格があって美しかった。八ヶ岳や富士山は雲海にぽっかり浮かんでいる。

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槍ヶ岳の右肩から日が昇った。槍を見ながらの日の出は最高のものだった。

Img_3351                               日の出を眺める登山客たち

 

5時の朝食を終え、槍に登る。

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槍の穂先は混んでいなかった。ルート確認しながら岩を掴んで登る。

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一気に登ってしまうのが惜しく、何度も振り返っては眺めた。
笠ヶ岳の手前の抜戸岳だろうか、その足元に槍の影が落ちていた。考えてみれば早朝に登ったのは初めてのことで、新鮮な景色だった。

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5:55槍ヶ岳(標高3180m)登頂。先客は2人のみで、静かな頂だった。

記録を見ると・・・
第1回目登頂:2001年8月25日PM3時頃(眺望0)
第2回目 〃 :2005年7月17日AM9:30頃(眺望0)
「3度目の正直」か、今回ようやく北アルプスを360度見渡すことが許された。

 

社に手をあわせてから、社うしろの北鎌尾根を覗く。今回はそれほど怖さを感じなかった。「ちょっと降りてみるかい?」という北鎌尾根の誘いに、私は何の躊躇もなく降りはじめた。

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あの孤高の人・加藤文太郎は真冬にここを降り命を落としている。
独標が「なんだ、ここまで来ないのか?」と私を挑発するかのように鎮座していた。確かに魅了するルートだった。槍の頂上は通過地点なのだという考え方が理解できるものだった。

加藤文太郎はどこでビバークしたのだろう? どこから滑落し、どこをどうさまよい歩いたのだろう?・・・天井沢に目を落とし勝手な想像をした。

 

槍の頂上に戻ったら大勢の登山客が上がってきており、にぎやかな頂上になっていた。

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槍頂上から西↑

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槍頂上から南↑                     槍頂上から東↑

これだけの眺望はもう2度とあるまいと思うと下山するのが惜しかった。

「ありがとう・さようなら」6:20下山開始した。

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下山途中、西鎌尾根が見える窓を見つけた。槍は最後まで私を楽しませてくれた。
ほどなく小屋に戻り、支度をして6:45西鎌尾根に向かった。

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2010北アルプス横断(一の沢登山口~新穂高)2日目後半

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平成22年7月19日(月)[E:sun] 後半

9:30ヒュッテ西岳(H2685)を通過し水俣乗越に向かう。

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はしごやクサリ場を通過して樹林帯を200m大きく下る。

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10:06、北に目をやれば↑天上沢が流れつく高瀬湖、その奥には針の木岳が見えた。

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10:29、槍沢が↑見え出した。ババ平から眺めた東鎌尾根に今立っていることが何より嬉しかった。とにかく眺望がよかった。

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左)ママコナ 登山道の真ん中に数本咲いていた。

右)10:35水俣乗越H2492に着いた(ヒュッテ西岳から約1時間)。先客あり。今まで見かけない登山客だったので槍沢から上がって来たのかも? 先客はすぐに槍に向かって行ってしまった。私は水分補給で10分ばかり休憩する。

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水俣乗越から少し登ると展望が開けた↑。
稜線上は日差しが強く暑い。昨日の最高気温は22℃だった。今日も昨日と変わらぬ暑さだ。ハイマツの陰で小さくなって休む。11:05~11:15

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11:41 長いハシゴを下る。ハシゴやクサリ場の連続で緊張を強いられ、さらなる暑さで頑張りがきかなくなってきた。11:50~12:00日陰があったのでまた横になって休む。標高2623。虫が多く虫除けネットが重宝する。

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12:34、槍沢側に出ると涼しい風が吹いてくるので気持ちいい。
この槍沢は上高地を流れる梓川の源流だ。天狗原からも槍沢に幾筋もの沢↑()が流れ込んでいるのが見える。いい眺めだった。

休憩するにいい大きな岩陰があった。標高2713。12:40~1:00長いお昼寝をする。お昼寝が病みつきになってしまった。日陰でじっとしていると体のほてりが幾分やわらぐ。ここでも虫除けネットが大活躍した。

 

暑さで足が重く、ゆっくりしか歩けなかった。いくらも歩いていないのに高度計ばかり見ていた。

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すると突然目の前に雪渓が現れた1:09。通り過ぎてからザックを降ろしのところの雪を削り取り顔を洗った。そして首を冷やしてから口に含んだ。お腹が痛くなるといけないので融けたら吐き出すということを何度か繰り返し体温を下げた。へろへろだったので生き返ったここちがした。雪渓に助けられた。

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1:48やっと大槍ヒュッテに着いた(H2875)。バンザ~イと思った。
水俣乗越からのコースタイムは2時間となっている。私は40分のお昼寝+αの休憩をとったので3時間もかかった。

ここまでの道のりはつらかったけど楽しかった・・・無事にここまで来ることができて嬉しい。
ヒュッテのオネエサンとそんな話をしながらコーヒーを飲んだ。疲れが吹っ飛んだ。

 

2:05、ヒュッテ大槍を出発し槍に向かった。この先の展望も私を楽しませてくれた。

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急いでこの場を通過する(ノタノタしか歩けないが・・・)のはもったいない。今度はお昼寝でなく、座り込んで景色を楽しんだ。
常念小屋・ヒュッテ西岳・大槍ヒュッテ・殺生ヒュッテ・蝶ヶ岳ヒュッテ・・・こういうふうに見渡せるとは思わなかった。

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槍を目指して槍沢を登ってくる登山客がありんこのようだった。自分のへタレを棚に上げ「ガンバレ~」とエールを送る。

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槍がそびえたつ↑。北鎌尾根は手が届きそうぐらい近かった。

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あと100mと道標↑に書かれている。もう余力を残すことない。苦しいながらも最後の登りを楽しんだ。3:30ようやく槍ヶ岳山荘に着いた。受付嬢が笑顔で出迎えてくれた。

体調を壊した登山客が多かった。高山病といっていたが熱中症も併発しているだろうと思った。私も熱中症一歩手前だったような気がする。日陰で体を休めていなければ私も体調不良になったにちがいない。それほど日差しが強い日だった。

 

東鎌尾根は想像以上に険しかったけれど、歩き続けた結果、目的地に到着できた。「歩きぬく」ことができて本当に嬉しかった。

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2001年に見た夕日をもう一度見たかったが、ガスが出て期待はずれだった。何もかも上手くいくはずがないなと思った。

小屋はすいていた。疲れた体を横たえたらすっと眠りについた。

 

平均上昇率(1分あたり)     3m
垂直上昇高度の合計    996m    

平均下降率(1分あたり)   7m
垂直下降高度の合計
    800m

上昇/下降の回数      1回(標高差が50m以上でカウント)

総時間        10時間33分(休憩含む)

 

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2010北アルプス横断(一の沢登山口~新穂高)2日目前半

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平成22年7月19日(月)[E:sun]

4:00頃、目が覚める。昨晩はよく眠れた。
4:30朝食。食堂からも日の出は見られるのだけれど、やっぱり外で見たい。急いで食べて外に出る。

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気温10℃。行動着に薄手のダウンを着てちょうどいい。
昨日、到着後に大天井岳に登ったのだが、ガスで何も見えなかったのでもう一度登る。

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10分ほどで大天井岳に登頂。西に目をやると穂高稜線が一望だった。今日の目的地槍ヶ岳までの稜線を辿る。こういう作業は楽しい。

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北は立山連峰↑まで遠望できる。

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そして昨日の縦走路も確認する。その奥に八ヶ岳、富士山、南アルプス↑もくっきり見え感慨無量だ。

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燕岳への表銀座縦走路↑もよくわかる。遠くの山々もよくわかる。 好天に恵まれ360度の山々を堪能した。

 

5:20大天荘に戻り5:30槍ヶ岳に向け出発する。ここからは初めての道になる。

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今日のルートは赤色です。まず、標高約200m降下し大天井ヒュッテを目指す。

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こういう↑景色を見ながら降る。

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ザレ場になると斜面一面にコマクサが咲く。大パノラマにお花、朝から嬉しくて仕方がなかった。

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左) 大天井ヒュッテが見えてくるがコマクサが可愛くてなかなか降りられない。

右)大天井ヒュッテ到着後、今降りてきた道を見上げる。

小屋前のベンチで着ていたダウンを脱ぎ水分補給した。

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小屋からさらに100降って↑ビックリ平に向かう。ヒュッテ6:20出発。

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まもなくシナノキンバイが咲き出す。

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6:55ビックリ平に着く。ビックリするほど展望がよいということなのかな?確かに惚れ惚れする眺めでじっくり眺めた。 

この先もビックリするほどの眺望だった。

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槍ヶ岳が両手を広げウエルカム↑しているようだ。今まで見たことがない槍の姿に感動しきりだった。

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7:12、こんな景色を見ながら↑H2500~H2600をいくつかアップダウンして進む。ずっと槍を見ながら。

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左)ハクサンチドリ 7:30                 右)ハクサンイチゲ

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朝見た富士山は常念岳のずっと左だったのに右側↑に見えるようになった。私が南下したことがわかる。

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左)チングルマ 7:56                右)来た道を振り返る 8:02

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初めてのこの景色に「ほ~」としばらく足が止まる。これまた違った顔の常念岳だった。

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左)タカネヤハズハハコ                  右)ヨツバシオガマ

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花の時期と天気は私の予想通りだった。計画は順調に進んでいった。

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8:40赤いザックの男性に抜かれた。↑表銀座縦走コースなのに登山客は皆無に近い。後にも先にも槍に向かう登山客はこの男性しか見なかった。そのかわり野生のサルがいた。ヤバイと思ったが近づくと逃げていった。ペアだった。

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8:50東鎌尾根の全貌が見えるところに着いた。簡単な登りではないとはわかっていたつもりだが、目の当たりにしたその迫力に少しへこんだ。一歩一歩上がればいつか着くはずだ。そう自分を励ました。

 

9:00ヒュッテ西岳が見えてきたが、ヒュッテ手前に西岳登山口があったので登ってみる。

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H2700からの景色。足元の赤い屋根↑はヒュッテ西岳。

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槍沢の雪渓はまだ多い。これが上高地の梓川の源流である。

 

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西岳(H2758)からまた違った角度の東鎌尾根と対峙する。この9:10~9:20はある意味覚悟する時間だった。まず謙虚にならなければ。「今から尾根に入ります。どうか私を受け入れてください」と槍ヶ岳に願いを乞う。

9:30、H2685のヒュッテ西岳を通過し、とうとう東鎌尾根に足を踏み入れる。
まず水俣乗越までH200m急降下。さて東鎌尾根はどれほど険しいか?

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2010北アルプス横断(一の沢登山口~新穂高)初日

今年の梅雨明けは例年になく早かったですねぇ。『いつでもGO!の計画』を少し練り直し、7/17北アルプスに向かいました。

 

平成22年7月18日(日)[E:sun]

6:15一の沢登山口(H1250m)から常念乗越(H2466m)に向かって歩き出す。
この道を登るのは平成13年8/27以来のことでなつかしい。ついでに調べてみたら平成16年9月に燕岳からの縦走でここを下っている。

まずは常念乗越まで標高差1216m。心して登り始める。

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ルートは、上の地図をクリックして拡大してご覧下さい。
初日は緑色、2日目は赤色、3日目は紫色です。

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標高1900mになると、わずかだが雪渓上↑を歩く。北アルプスといえども稜線に出るまでの樹林帯歩きは暑くてたまらない。雪解け水で顔をジャブジャブ洗う。タオルをぬらして首筋を冷やす。これでずいぶん助けられた。

 

間もなく胸突八丁に出て高巻き道に入る。

Img_3148 Img_3149 クルマユリImg_3150
 

最終水場に着いたのは9:25。あと1時間もしたら常念乗越につくだろうから、一の沢の冷たい水で体の火照りを鎮めながら一服した。とにかく暑い日だった。            

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10:38ようやく稜線に出た。晴天に恵まれ眺望は最高である。さわやかな風にふかれながら、やはり北アルプスは格別だと思った。

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今回はコンロを持ってこなかったので小屋で湯を買う。小屋以外に日陰はどこにもない。まわりの皆がしているように私も炎天下で大休憩とする。

 

お腹がふくれ眠くなる。帽子を目深に被り寝転がった。まさに至福のときだった。
降り注ぐ日差しが膝にあたり、始めは暖かくて気持ちよかったのだけれど、じわじわ熱くなり最後は飛び上がるほど熱くなった。
ア・チ・チ・チ・チ!山の日差しは驚くほどきつい。しばらく膝頭がひりひりしていた。

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11:45重い腰を上げ横通岳↑を目指す。まずはあそこまで標高差235mのアルバイト。

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左手に絶えず穂高稜線が見える。何度も何度も立ち止まっては見入った。だから抜かれっぱなし。

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北アルプスの核心部を目を凝らして見つめる。

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振り返れば↑常念岳が立派だった。(今回は上がっていない)

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標高2700mあたりのトラバース。コマクサが咲く快適な稜線歩き↑

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        コマクサ                   ハクサンシャクナゲ

 

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次は東天井岳↑を目指して標高100mあがる。登りになると途端にペースが落ちる私。鼻息荒く大汗をかいた男性が私を抜いていった。この暑さの中あんなに頑張って大丈夫だろうか。本当に暑い日だった。

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なんとか東天井岳をやっつけた。すると、もうひとつ登れと中天井岳↑が現れる。私は少々げんなりだった。「そうだよな、9年前の行程どおりに歩けるはずがないよなぁ」と、ここで否応無しに自分の体力低下に気づかされる。

少し登っては立ち止まり、少し登ってはどれだけ上がったか振り向く。すると遠くに男性がひとりとぼとぼと登ってくるのが見えた。あの人も足取り重そうだった。

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なんだかんだとぶつぶつ言いながらも3:10中天井岳を乗越すと大天井岳↑の小屋を捉えた。
やったぁ~もう水平移動だけ。もう余力を残すことない。タッタカタッタカ歩いて3:25大天荘にようやく到着した。

 
 
平均上昇率(1分あたり)     5m
垂直上昇高度の合計   1856m    

平均下降率(1分あたり)   4m
垂直下降高度の合計
    277m

上昇/下降の回数      1回(標高差が50m以上でカウント)

総時間         9時間15分(休憩含む)

 

足が悲鳴上げるはずだ。1856mも上がったとは・・・・よく頑張りました。

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掛け布団はブレスサーモンの寝袋で清潔なシーツがかけられていた。小屋はすいており、隣にいびき親父はいなく、安心してぐっすり寝られた。

小屋の様子はこちらをクリック

山の名前等が違っているかもしれませんのであしからず。

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夏山計画妄想編+仮想遍路

夏山計画を詰める時期になってきました。

今年はどこに行けるかな?

 

私が歩きたいところは・・・・・

折立~太郎平小屋泊1~黒部五郎岳~黒部五郎小舎泊2~双六小屋泊3~弓折岳~折戸岳~笠新道~新穂高(山中3泊→最低3泊4日)

 

一の沢~常念小屋~大天荘(小屋orテント泊1)~大天井岳~西岳~ヒュッテ大槍泊2~槍ヶ岳~西鎌尾根~双六小屋(小屋orテント泊3)~雲ノ平テント場にデポ~高天原山荘泊4~雲ノ平テント場デポ回収~薬師沢小屋泊5~折立(山中5泊→最低6泊7日 悪天候で停滞を考慮するとあと数日欲しいところ)

 

新穂高~わさび平小屋泊1~左俣林道から奥丸山~千丈沢乗越~槍ヶ岳山荘泊2~南岳~天狗原~槍沢~横尾山荘泊3~上高地(山中3泊→最低3泊4日)

 

頭の中にあるルートの一部を書き出してみました。北アルプスを網羅するのが夢なので、残りをこなすには、こういうルートになります。ピークハンティング目的でなく点(山頂)と点を結ぶのが私のこだわりです。

とはいっても3泊4日の確保は簡単ではありません。
相棒や天気、そして体調も関係してくるので思うようにいきません。特に②は行程が長いので区切らないといけないかもしれません。続けて歩けたら最高なのですが。

とにかく都合がつけばいつでもGO状態です。こういう妄想は実に楽しい。地図を開いたらキリがないほど眺めるアホです。笑ってください。

 

[E:run]点と点を線で結ぶ話題をもうひとつ。
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私の携帯電話は万歩計がついていて、四国八十八カ所コースというサイトに登録してます。
今日、44番大宝寺に到着したとメールが来ました。

   

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あと19468歩で45番に着くと教えてくれるのです。

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なかなか面白いものです。

というわけでお四国は今は仮想遍路で楽しんでいるのであります[E:coldsweats01] 

救いようのないアホなアル(歩き)中です。

 

御嵩の森

平成22年6月5日(土)[E:sun]

岐阜県にある「御嵩みたけの森」にササユリを見に行きました。

今年の花は、春先の天候不順で何もかも1週間ほど遅れている。ササユリもしかりだった。
目が慣れてくるとつぼみがたくさんあることがわかる。来週は一面が綺麗になるのだろう・・・・。

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何といっても薄桃色が清楚です。咲き初めの1~2本はとても愛おしい。ひそかに咲くササユリが私は好きです。 

 

湿原に足を延ばすとひとりのカメラマンが熱心にシャッターチャンスを狙ってます。そっと近づくと、被写体は、とっても小さな「ハッチョウトンボ」でした。初めて見たので夢中でカメラを向けたのですがピンボケで駄目でした。こちら↑をクリックしてみてください。

真っ赤なのがオスで体長は2cm。メスは茶色で体調1.8cm。1円玉が直径2cmなので本当に極小です。カメラマンがいなかったら、私はやり過ごしていたでしょう。

ヤマボウシやエゴノキも今が盛りと花をつけて、御嵩の森は気持ちよい散策路でした。

 

        …。oо○**○оo。…。oо○**○оo。…。oо○**○оo。

 

御嵩の森を後にしたのはまだ午後1時。同行した友達が、「私が見つけた秘密?の山があるからそこに行こう」というので、断る理由もないからついていくことに。

名鉄電車で可児川で下車。しばらくしてごさごさの山に入っていった。めったに人が入らないような道でちょっと薄気味悪い。友達はこの山の中をぐるぐる探検したらしく分岐に出るとああだこうだと話してくれた。ふんふんと聞きながら標高172mの山を3つアップダウンした。

実は、この日の朝、この友達から2.4kもある荷物を受け取ってザックに入っていた。

   友達「はい、これ!」

   私「何?」

   友達「野菜が高いとぼやいていたから持ってきてあげたの」

   私「・・・・・・・・・・・アリガトウ・・・・」とザックに押し込んだ。

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この玉ねぎを一日担いで歩いたのだ。重くて肩が痛かった。しかし山登りに玉ねぎなんかお土産に持ってくる?気が知れな~い!

「夏山トレーニングになったよ。アリガトネ」と別れ際に皮肉を込めて言ったら「黒部五郎いかない?」ときた。「天気次第だね」と意地悪く言って別れた。    

 

愛知県で一番高い山へ

平成22年5月29日(土)[E:sun]

ある日のこと。新聞の一面に、さも出かけたくなるよな芝桜の写真が掲載されたのです。
記事によると、平成19年から植栽され、これから16000㎡30万株が見ごろになるとのこと。

さらに、この芝桜が見事な山は愛知県で一番高い山だという私の興味をそそることが書かれているのです。愛知県で一番高い山って?

「茶臼山(標高1415m)」でした。

名前は知っていたけど一番高い山だったとは知らなかったのです私。県民として、また山をやるものとしてちょっと恥ずかしいことでした。

というわけで、芝桜を見に「茶臼山」に出かけました。

 

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バスで茶臼山高原へ。カエル館標高1260mから歩いた。
このカエル館には、ワンと鳴くカエルがいるらしい。カエルに興味はないが本当だろうか?と入り口で耳を澄ますと、確かにワンと聞こえた。入場料が惜しくて入館しなかったがワンと聞こえたので得した気分。

 

30分ほどで茶臼山の展望台に着いた。どこに芝桜が?ときょろきょろすると、もうひとつ向こうの山(萩太郎山標高1358m)の東斜面に芝桜が見えた。なぁ~んだ、茶臼山でなくて萩太郎山の芝桜ではないか・・・・と思った。(帰宅後、新聞を良く見たら茶臼山高原の芝桜と書いてありました。)

 

茶臼山をいったん下って萩太郎山へ。高原スキー場のゲレンデを登る。日差しを遮る木はなく下を向いてひたすら登る。頭上をリフトが通る。リフトから見る景色はさぞいいのだろうなぁ~と羨ましくもあった。

 

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茶臼山を眺めて昼食↑ 茶臼山の向こうは長野県根羽村という所で茶臼山は県境です。 

観光客が多くて駐車場もリフトも長蛇の列だった。新聞記事の効果のようだ。私もその1人なのだが。

 

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芝桜の周りには獣除けの電柵が張られていた。(日没後~早朝は通電)その柵の外に登山道らしき?を見つけた。電気が流れていないのを確認して柵を越え、ダメもとであたりをつけて下山していった。あれだけたくさんいた観光客は皆無で静かな登山道だった。芝桜の人気でこの登山道は影を潜めているようだ。上手い具合に高原美術館に下山できた。咲き始めのシャクナゲが綺麗だった。

 

2時半にはバスに乗って帰路に。これから芝桜を見に来る対向車の渋滞がどこまでも続いていた。あれではいつたどり着くやら。ライトアップでもあるのだろうかと思ったほど延々と渋滞していた。

 

2010伊吹北尾根

みなさん、お久しぶりです。お元気ですか?

ブログの更新、サボってました[E:coldsweats01] 

先日出かけた「伊吹北尾根」を紹介します。


 

平成22年5月15日(土)[E:sun]

[E:telephone]「明日、伊吹北尾根行かない?」

私「ちょうど今、夫にふられたところなの。連れてって!」

 

というわけで朝7:00 友人夫婦のマイカーに便乗させてもらって自宅を出発[E:car][E:dash]

名神高速の大垣ICを降り、伊吹北尾根取付の国見峠まで春日村(岐阜県)という山道を行く。

9:10国見峠着。ここはに立つのは4年ぶりで3度目。

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国見峠から伊吹山↑がよく見えた。

今日は北尾根(岐阜県と滋賀県の県境尾根)をピストンだからどこまで行けるやら。

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イワウチワはもう終わっており、ちょっこし残念だったが、そのかわりキクザキイチゲを見つけた。いつ見ても清楚です。

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ヤマトグサという花というか植物↑を初めて見た。明治20年、牧野富太郎が日本人として初めて学名をつけた記念すべき植物だとか。教えてもらわなければ見過ごしてしまうただの草なのだが、よく見ればつくりが実におもしろい。おしべがひげのように垂れ下がっている。珍しいつくりにしばし観察する。

  <大和草> ヤマトグサ科/ヤマトグサ属
  茎は高さ15~30センチ
  葉は対生し卵形で長さ1~3センチ
  雌雄同株。葉柄基部に膜質の托葉があり1~2個の雄花または雌花をつける。
  雄花は多数の雄しべが垂れ下がり、3個の萼片はくるりと反り返る。

 

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銀助平から見えたのは、まだたっぷり雪をまとった白山(望遠)だった。
その左手前は能郷白山。

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国見岳を過ぎ振り返ると新緑が見事だった。

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そして今来た春日村集落を見下ろす。この開放感をなんと説明しようか。

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大禿山頂上(標高1083)。

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さらにどんどん南へ足を延ばし、御座峰(ござみね)へ。御座峰は眺望ないのでさらに先へ。

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すると琵琶湖が見えた。あれが竹生島かなと立ち止まる。

今日はここまでにしよう。お昼にし今来た道を戻った。

 

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開放感たっぷりの尾根歩き。スミレとイブキハタザオが登山道を彩っていた。

 

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行きにも見たヤマシャクヤク。まだつぼみは固し。

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ユキザサ

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フタバアオイ 足元の赤いのが花

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チャルメルソウ

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銀助平から白山を眺める登山客 

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ボタンネコノメソウの大群落

そのほか、ラショウモンカズラ・ハシリドコロ・ルイヨウボタン・エンレイソウ・ヤマブキソウ・ヒトリシズカ・ヒメレンゲ・フッキソウ・・・・・

2:30に駐車場に戻る。

春日村に降りるあたりで満開のウワミズサクラを見た。

友達と幸せな日が過ごせ嬉しく思った。

 

 

平均上昇率(1分あたり)     6m
垂直上昇高度の合計    675m

平均下降率(1分あたり)   7m
垂直下降高度の合計
    675m

上昇/下降の回数      4回(標高差が50m以上でカウント)

総時間         5時間10分(休憩含む)
以上、参考まで。

 

 

       

 

 

       

 

2010鈴鹿(雲母峰)

三重県四日市市にある雲母峰(キララみね)888mに行ってきました。

平成22年3月14日(日)[E:sun]/[E:cloud]

今日は夫の運転でマイカー登山。久しぶりの山の会に参加だった。集合場所の宮妻口バス停につくとなつかしい顔が待っていた。

雲母峰(キララ)は2002年2月に登っている。たかが8年、されど8年。思い出すものはあるでしょうか。

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キララ2峰からの四日市方面の展望↑

8年前はこんなに展望が開けていなかった。四日市のコンビナートや伊勢湾を挟んだ知多半島を眺めた。茶畑が多い地域だが本当に広範囲にあった。

風もなく暖かい。ここで昼食とした。その後、本峰(標高888)を踏んでピストンする。

 

下山途中、山中に不似合いな大きな青いトラックがぽつんとあった。どうやら廃鉱で残されたようだ。今では林道もなくなっている。だからといってずっとここに置いておくのもどうかと思う。

 

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房桜だと仲間に教わったので写真を撮ってみた。これで満開状態らしい。

 

下山口の東海自然歩道に降りたら、パカパカと馬がやって来るので驚いた。この東海自然歩道が乗馬コースになっているらしい。

 

8年ぶりのキララ。以前とルートが違ったので思い出すものはなかった。