
北アルプスにハマって十数年、歩いた稜線はどんどん延びました。
去年の秋、南岳~槍をつないだことで、ひそかに願っていた『北は剱岳~南は焼岳まで踏破』は麻雀でいうテンパイとなり、リーチ!をかけるまでになりました。
待ちである『上の写真の青マーカー』を ツモ(自力)れば、あがり!ですが、そう簡単ではありません。
さて、どうなりますやら?
平成25年8月18日(日)[E:sun]

ガイド撮影
このあいだの西岳から中5日で、また北アルプスに来る機会を得たことは、ある意味幸せだった。
「山は逃げていかないけれど、機会を逃したら一生行けないかもしれない!」と、いつも念仏のように家族に聞かせては、擦り込んだ成果といえようか。
今回は、長年憧れていた『北アルプス稜線踏破』の途切れているところをつなぐためにツアー(7人)を利用した。
数日雨マークはなさそうだし、長年の夢を叶えるには上等な日だった。
煩わしいことはとりあえず忘れて、命の洗濯というか息抜きというか、私のシ・ア・ワ・セ!な世界へ入っていく。
11:00上高地に入ると、このあいだ、喜作新道で見たヘリコプターの謎が解ける捜索願の張り紙を見つけた。
さらに・・・・・

この2週間で、死亡5人と書かれている掲示板。
今から入る穂高稜線は難関コースだけに、これは気が引き締まるものだった。

今回のコースは、上の緑のマーカー。
今日は河童橋を渡って、岳沢に入り岳沢小屋まで。
11:45 岳沢の樹林帯を入って行く。
木の間から見える穂高稜線が少しずつ近づくのは嬉しい。4度目にしてようやくアソコを歩かせてもらえる喜びは大きかった。

上高地から標高670mを上がった小屋見峠まで来ると岳沢小屋が見えるようになる。あと一息で小屋。
2:50 岳沢小屋(標高2170m)に着く。
夕食後、明日歩く稜線を眺めては感慨にふける。
そういえば、この岳沢小屋に来るルートで相当へたばった女性がいた。案の定、部屋割りの後「体調が悪いようなので、明日のルートは参加させられない」とガイドは皆の前で警告した。
簡単に諦められない女性は「今日は体調が悪いだけで、明日は大丈夫だ」と自信満々で引き下がらなかった。ゴネる言葉は、山をやる資格がないものに聞こえた。
山は実力や体力のないものを容赦なくふるい落とし『死』に至らしめることがあるだけに、『体調が悪い以前に準備不足』というガイドの言葉は、レッドカードに値していると思えた。
夕食後の部屋で、明日の話をするものは誰一人いなかった。退場させられる女性への気遣いだったのに、彼女はいつまでも愚痴っていた。
与えられた布団に横になり黙っているしかない雰囲気は、寒々しいものだった。



