天生峠から籾糠山へ(岐阜県)その2

カツラ門からは、ときどき残雪歩きとなります。

 

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咲いたばかりの『キヌガサソウ』(ユリ科)。今年も会えたね、と友達との再会を喜ぶような感じです。 雪解けを待って咲いた花は本当に綺麗なのです。
名前の由来は、傘状に広がる葉が、その昔、貴婦人が用いた衣笠のよう
だったから。緑の葉の直径は30㎝程、白花は直径10㎝程です。

 


 

Cimg3106 淡い紫の『キクザキイチゲ』(高さ10㎝程)も見つけました。近辺にもパラパラと数輪あって感動です。私がこの時期行く山で、これほど見られたのは初めてというほど珍しい花です。キンポウゲ科で絶滅危惧種。

 

 

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沢の脇に咲く『リュウキンカ』 草丈15㎝くらい。花言葉は『必ず来る幸福』。

 

 

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『タケシマラン』(ユリ科)草丈20㎝ほど。上からでは花が見えないので這いつくばって花の表情を撮影したのですが、私のデジカメではこの1㎝ほどの花の撮影はちょっと無理があります。もう少しはっきり見たいところですが、これでも影像を大きくして、なるほど~と観察できます。秋には赤い実がぶら下がります。

 

 

Cimg3119 初めて見る『ムラサキヤシオ』ツツジ科  アカヤシオやシロヤシオは鈴鹿でも見かけますが、ムラサキヤシオは日本海岸側に分布するので、今回ようやく見られたというわけです。 

 

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籾糠山1744m登頂。駐車場から休憩含めて3時間半(コースタイム3時間)

頂上からの展望は私にとってはこの上ないものでした。北は剱岳から焼岳、乗鞍岳、御嶽、多分ですが中央アルプス連邦まで目に出来ました。

Cimg312411 剱岳から焼岳まで歩いた稜線を目で追う作業は楽しいものでしたが、同時にあの山に飲み込まれた(死に追いこまれる)人のことなどが頭に浮かび、複雑な気持ちでした。

特に、遠くからでも一目瞭然の白出沢は、今年のGW、あと数十mで小屋という直下で落石により亡くなった方(面識はありません)を見る思いで痛々しさを感じるものでした。実はこの方の詳細なる事故報告書(HP)を読んでから、自然がすることの怖さをつくづく感じるです。

私は無雪期に白出沢を下山に使ったのですが、今思えばあそこはいつ落石があってもおかしくない場所でした。しかし、私を含めほとんどの人が無事に通過していることを考えると、落石や遭難などで命を落とす人は、自然や神が相手だけに、そういう運命だったとしか言いようがありません。

今夏、縦走予定の岳沢~天狗のコル~天狗岳~間ノ岳~赤石岳~西穂高岳の無事通過を籾糠山から祈る思いで見つめました。

 

 

 

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下山開始して間もなく白山が望めました。白山も自然豊かな山です。

 

帰りは、木原探勝路コースをとりました。

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木原湿原の『モウセンゴケ』 食虫植物と言われています。アブがたくさん飛んでいたのでそれを餌にしているのでしょうか。そういえば私、右耳をアブに食われタマラナイ痒さにしばらく悩まされました。

 

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白い花をつける『タムシバ』 爽やかな新緑の中をどんどん降っていきます。

 

 

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途中の仮設トイレ利用しました。テント内に携帯トイレが設置してあり、使用後、自分のザックに入れて持ち帰るのです。下山後400円で回収してくれるシステムでした。北海道の山にも、こんなのありましたが無料で回収してくれました。もう何年も前の話ですので今は有料かもしれません。

 

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左)『サンカヨウ』 草丈50㎝くらい。秋に
濃い青紫色で白い粉を帯びた実をつける

右)『チャルメラソウ』ユキノシタ科。屋台のラーメン屋さんが吹くチャルメラに似ている?1㎝くらいの花。

 

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左)白の『キクザキイチゲ』 淡い紫に続き貴重な出会いでした。
右)これでもかというくらい大株の『ツバメオモト』

 

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左)『オオカメノキ』(別名ムシカリ)夏に赤い実を付け、秋には黒くなる。
右)開花前の『コバイケイソウ』 群生するのは数年に一度と言われ、ここ数年、私は見かけていない。そろそろ今年ぐらい出会えるかも?

 

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左)単調なブナ林を降る。
右)『ウワミズザクラ』
(高木) ブラシのように長い花穂が特徴。

 

PM1:45駐車場に戻る。そういえばこの山は入山料が500円必要でしたが、これだけのお花が見られたので、ケチな私でも惜しくなかったです。

 

出発(駐車場)  AM6:55
下山(駐車場)  PM1:45
行動時間     6時間50分 
ピーク(籾糠山)  1718m
登り          598m  2時間
下り          583m  1時間40分
 
 

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下山後、白川郷に寄って蕎麦を食べて来ました。

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世界遺産だけあって、観光バスが次々と到着し、ワンサカ人が降りてきます。我々3人は初白川郷だったので観光客となって見学しました。

 

今日はE氏の月命日でした。 一緒に山を歩いていたような錯覚が何度かあったのは、きっとあの世から戻ってきていたのだと思います。山を愛し花を愛した彼のための追悼登山はよいものでした。

これでおしまいです。