2009 知多四国84~88番 結願

結願に向けて、最後の知多四国区切り打ちに出ました。
結願は、けちがん・・・と読みます。お遍路では88箇所すべてまわりきることをそう呼びます。

  ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

平成21年2月22日(日)[E:sun]/[E:cloud]

東風吹かば・・・・梅の便りに誘われお遍路に出る。今日は目的地まで電車(7:52乗車)。夫が同行。

結願まで残すところ6ヶ寺。半日もあれば十分まわれるので、結願後に梅見をしようと始めは考えていた。が、お昼には晴れから曇りになるという。さて、遍路と梅。どちらを重視しようか?

本当のことを言えば、梅だけを見に行くつもりだった。が、地図を見ているうちに、ついでに結願できそうだなんて不謹慎にもひらめいてしまったのだ。梅見のついでに結願しようだなんて、弘法さま(知多ではお大師さまと呼ばない)は、きっと嘆いておいでだ。

・・・・多少うしろめたさを感じつつ、道草逆打ちをする。
(87→梅見→88→5→86→85→84結願)

言い訳のようだが、知多四国は四国のように順番どおりに打てない配置になっている。5番が88番に近かったり、54番が12番に近かったりしている。そして順打ちだとなぜか87番が結願寺となっている。番号どおり進まなくてもよいというのが知多四国のコンセプトならば道草一部逆打ちもありかなと勝手な解釈をする。 


87番長寿寺(JR大高駅から15分)8:15~8:35

犬の散歩をしている男性に教えてもらった道で到着する。このお寺は名古屋市緑区に位置する。名古屋市内に88ヶ所のひとつがあったことをはじめて知る。

最後の区切り打ちになります、と報告した。

大高緑地公園(87から5分)8:40~11:00
この公園はかなり広い。私が小学生のころ遠足で来て以来のこと。梅林を目指す。

Img_1158jpg95

梅の香りに導かれ梅林一面が眺められるところに立った。何ともいえない優しい色合いにやんわりとした高揚感に包まれる。このやんわりがいいのだ。うっとりと眺める。

Img_1163
Img_1164

[E:cherryblossom]梅林に 道草遍路 このうえない

Img_1171
公園内のドッグランで走り回る犬たちを金網にもたれかかって眺める。私も今、この犬たちのように非日常の空間を自由自在に歩き回っているのだと思った。まずは、そう感じることが大切なのだと最近思うようになる。

Img_1173 嵯峨野を思い出させる竹林。大きく吸った息を長く吐き出してみる。滞っている老廃物なるものを体の外に吐き出すように、はぁぁぁ~ と。

入り口に戻ると、朝には誰もいなかった恐竜広場に子どもたちが大勢遊んでいた。子どもたちも犬のように解放され走り回っていた。
寄り道した2時間20分は、とても有意義だった。

JR東海道本線を越え、名四国道をくぐる。逆打ちなので南下する。

畑沿いを歩く。どうみてもカブのような丸い大根が植わっている。勝手に畑に入り込み葉っぱを避けて確かめる。やはりカブのように丸い。カブなのか聞いてみたかったのだが畑の持ち主はいない。
収穫したブロッコリーが軽トラに山積みされている。ブロッコリーが最盛期であることを知る。明日にはスーパーに並ぶのだろう。ここのでなくてもいいから買ってみようという気になる。

●88番円通寺(大高緑地公園から35分)11:35~11:47
伊勢湾岸自動車道高架下の立派な歩道橋を渡ってすぐが88番。知多郡大府市に位置する。

このお寺を出たところで歩き遍路と思しき男性とすれ違う。知多四国は笠も杖もない人がほとんどなのでひと目で歩き遍路なのかわかりにくい。だからか遍路同士の交流がないに等しい。お接待文化もないのでちょっと寂しくもある。

●5番地蔵寺(88から30分)12:20~12:33
実は今年のお正月に車でここ5番にお参り来ている。寒い日だったと記憶しているが今日は風もなく暖か。。

Img_1177
どぶろく祭りだとマイクから聞こえたので参拝前に塀越しにのぞいてみたら隣接する神社のお祭りだった。お正月より賑わっていた。

Img_1178
参拝後、神社に回るとものすごい屋台が並んでいた。進む道が人ごみでわかりにくいので昼食(12:45~1:15)とする。魚料理が食べたかったのだけれどそれらしい店はない。仕方なしに喫茶店のハンバーグ定食でお腹を満たす。

Img_1180
Img_1181

昼食後、西に進路を取る。知多半島道路をくぐり、愛知用水をくぐったあたりで歩き遍路と思しき男性に追いつく。今日はなんだか歩き?が多いような。

知多四国で先行く歩き遍路を見つけたのははじめてのことだった。
見つけると人恋しさからか近づきたくなる・・・ということを四国ではよくやったものだ。

が、追いかけ近づいても挨拶はできず中途半端な会釈をして私は通り過ぎた。気軽に声を掛けられると思ったことができなかったのだ。ふと四国でのことを思い出す。四国では、道中、何度か前後し、すれ違ったりして顔なじみになるというプロセスがあった。そして挨拶につながって行ったように覚えている。今回はそういうプロセスは皆無なのだ。気軽に声を掛けられなかったのは当然のことに思える。顔なじみになるプロセスがないということはちょっと寂しくもある。

●86番観音寺(5から47分)2:20~2:33
Img_1184
高台にある門前からの景色。すぐそこが伊勢湾。
新日本製鉄の工場が立ち並ぶ。

ここで間違いなく歩き遍路だとわかる女性と大師堂で一緒になった。手に地図を持っていたので参拝後に声を掛けようと思った。私が先に納経した。彼女を待ってと思ったらもう姿が消えていた。あれ?と残念に思ったが、あと87・5・88を残しているとするならば急がなければいけない時間だった。縁がなかった。

我々はしばらく来た道を戻って南下する。残すところあと2ヶ寺。

●85番清水寺(86から20分)2:54~3:10
塀のないオープンなお寺だった。清水寺は、せいすいじ・・・と読みます。
納経所には作務衣姿の尼僧さんが居られた。知多四国では初めての尼僧だった。

残すところあと1ヶ寺。どの道を選んでも交通量が多い知多郡東海市という町を歩く。

とうとう結願だね、と夫に話しかける。疲れもあり自動車の騒音のなかうつむき加減。

●84番玄猷寺(85から20分)3:31~3:46
本堂は今年(平成21年)の2月4日に再建されたという話を納経所で聞いた。
真新しい本堂のここが結願寺となったことは嬉しくもあり忘れない気がした。
そんなことを聞かれもしないのに私は納経所で話していた。いささか興奮していたのだろう。

四国のように1番に戻って円にするということはしなかった。というより梅見で逆打ちしたので無理だった。
なのでタクシーなりバスで最寄の駅に戻ればよいのに、なぜか真面目に最寄の駅(太田川)まで30分も歩いた。本当は非常に疲れていたのに交通機関を使わなかったのはなぜだろう?お遍路は終わったというのに。これまた歩いた意味を考えてしまう性格が頭をもたげる。
(四国に高野山があるように、知多四国には名古屋市内にある興正寺なるものが残っていますが)

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

愚かにも四国と比べ、様々なことで知多四国に物足らなさを感じたりもした。が、今振り返れば、道探しをしながら見つけたものはかぞえきれないことを知る。満足したことを知った。足るを知る遍路だった、と勝手に思っている。

Img_1187
知多四国で納経印をもらった白衣。後ろにある納経軸は四国でのものです。

納経所でもらえる【あなたは健康ですという太鼓判】を求めて歩いた全行程167km。宝ものがまたひとつ増えた。

さぁ、今度は何に取り掛かろうかなぁ・・・・・・