落窪の化石漣痕から生還後、本線の国道321号に戻る。
『龍馬パスポート』にスタンプ欲しさにお土産など買う。(右下の青いスタンプ)
国道沿いの馬に「お~い!」と声をかけたら、小屋からおじいさんが[E:sign02]という顔して出てきたのでびっくり。話し相手がいないから馬に話しかけたんだけど、おじいさんはそんなことわかんないだろうね。
お馬の親子は[E:notes]仲良しこよし[E:notes]いつでも仲良く[E:notes]ポックリポックリ歩く[E:notes]
竜串には、弘法大師も見残したという絶景地があって観光地となっている。
弘法大師が見残したという景色は畏れ多くて見られないのでパス。なんていうのはウソ。本当のところは、まだ20㎞も歩かなければいけないから寄っている時間がない。お大師様もきっと先を急がれたのでしょうね。
見残しにちょっぴり後ろ髪惹かれていたら、ひとりの男性に声を掛けられた。
「お遍路さん、道間違えてない?」と。「月山経由で宿毛に出ます」と答えたら「こっちのコースは来る人少ないけんね」と労ってくれ・・・・
ホットコーヒーのペットボトルを2本もお接待してくださった。 聞けば、『極道の妻たち』の家田荘子の専属タクシー運転手だとか。気前がいい運転手さんだった。お接待もだけど、こういう声掛けは本当に嬉しい。
海は穏やかでキラキラしている。この景色の中を幸せな気持ちで歩いた。
『下川口トンネル』を皮切りに、この先国道321号はトンネルが続く。
2つ目は『片粕トンネル』 入口には『竣工1984年8月 延長982m・・・』とある。
その『片粕トンネル』の出口からもう次の『歯朶裏トンネル』が見える。
この地域にトンネルが出来るまでは、道は整備されておらず人が住めるところでなかったはず。その名残で今でも人家はほとんどない。お大師様はどうやってこの道を歩いたのだろう?たった30年前でさえ、この道を行くのは難儀だったはずなのに。
『歯朶浦トンネル』 を出たところにある『小才角6㎞』の標識。しばらく海岸沿いを歩く。
『貝ノ川バス停』で今朝宿でもらったお接待のおにぎりをいただく。ひとつづつサランラップに包んであるので食べやすい。女将さんの心遣いがうれしい。
野宿遍路は、こういうバス停を一夜の宿とするらしい。
『貝ノ川トンネル』を出ると、波しぶきなのか細かい雨が降っていた。
ここで長男から応援電話が入る。そうか今日は土曜日なんだと気付く。しばらく話しながら歩いた。
行く手に見える高下駄を履かせたような道はいささかゲンナリ。昔の出雲大社の長い階段を想像する。 それにしてもよくもまぁ~ここに道を作ったものだ・・・とブツブツ言いながら強風のなかを歩いた。
高下駄の道を登り切ると『叶崎カナエザキ』が目の前にど~んと全景を現した。切り立った断崖が連なる見事な景色で、さすが『西の足摺岬』といわれるだけある。
何でも「叶崎海岸を見ずして土佐風景を見たとはいえない」とある御方が言ったそうだ。うなずける。
岬の突端には、ふたつ歌碑があった。
土佐ぶみにまづしるすらくこの日われ
うれしきかもよ叶崎見つ
吉井勇に詳しくないけれど、京都祇園に歌碑があることは何故か知っていた。あの花街とは正反対の最果ての地にぽつ~んと立つこの歌碑に興味がわいた。
調べてみたら山頭火のように女と酒に溺れ3年ばかり高知県香美市にいたらしい。その時に叶崎に訪れたのでしょうか。旧道があったにしてもトンネルはなかったはず。難儀しただけに、「この日われうれしきかもよ」だったのでしょうね。歩き遍路の私も叶崎を目にして嬉しかったもの。
それともうひとつ。『いのち短し[E:notes]
恋せよ乙[E:notes]』」のフレーズで有名な『ゴンドラの唄』を作詞した人だともわかった。知識が増えた。
右)野口雨情の歌碑
叶崎で波の音聞いた
波が碆打つ音聞いた
ザブ~ン・ザブ~ンという波の音をうたったのですね。わかりやすい。
東屋でホームレス遍路らしきがテントを張っていたので、神社がある高台へは怖くて登らなかった。だってここは最果ての地ですよ。サスペンスドラマのように身ぐるみ剥がれ海にドボンとされたら困りますからね。
灯台は鍵がしてあって登れなかった。この上から景色を眺めたらきっと絶景!なはず。ちなみに現役の灯台です。
叶崎を後にしてからも、何度も振り向き眺めた。登れなかった灯台のその奥に大きな船がゆっくり進んでいた。
『叶大橋』という高い所に掛けられた橋を渡る。トビウオとカツオでしょうか。活きの良さはさすが土佐。
6つ目の『脇の川トンネル』を歩いていたら、トンネル入り口バス停13:23発のバスが私を追い越していった。1日に数本しか走らない貴重なバスで、雨だったらここでエスケープするつもりだった。乗ったかもしれないバス、乗らずにすんだバスを見送った。
ここ小才角はサンゴ発祥の地だった。ここの集落はその昔サンゴで賑わった名残なのかもしれないと思った。
サンゴを持ったこの少女像は海に向かって立っていた。悲しい物語があったという。
お月さんももいろ だれがいうた あまがいうた あまのくちひきさけ
今日の目的地まであと9㎞。とりあえずあの岬を目指して歩く歩く歩く。
ここから遍路道に入る。もう2:30。今から山に入って大丈夫かなぁ~
つづく