私を今一度せんたくいたし申候  4日目その3

平成27年1月16日(金) その3

 

ヘンロ小屋20号からまた県道27号を歩く。ちなみに、この県道27号は今朝歩き出した以布利から始まっている。ときどき遍路道に逸れるけれど、大方27号を歩いてここまで来た。

 

 

Cimg0250今までにない大規模な『良心市』。ちょっとした八百屋さんの規模。無人で成り立っているのがいい。

主婦目線で品定めをしていると、超高齢のおばあさんが手押し車で商品を運んできた。自分の棚?に商品を並べる様子をじっと見ていたら、4~5個入っているブンタンの袋からひとつ取り出して私に下さった。(私の目線が物欲しげに写ったかな?)ありがたくお接待をいただく。残念ながら会話は一言二言で続かなかった。納め札を渡してお礼を述べる。


 

 

Cimg0251 お接待のブンタンはこれ! ずっしりと重い。私の誕生日プレゼントとした。サンキュ~!

 

Cimg0252県道27号を右にわけ岬の方に降りていく。すると神社に『松尾のアコウ』という大木があった。絞め殺し特有の気根がたくさん出ている。案内板に『大正13年・国の天然記念物に指定、樹齢300年』とある。貴重なもののようだ。このあたりは黒潮があたる地域ということで、アコウの種が南国から運ばれ 多く自生しているらしい。

 

 

さて今回のミッションを果たす場所が近くなる。通り過ぎないように慎重に歩いていると、運良く郵便配達のバイクが通りかかったので念の為に尋ねた。

「女の城と書く女城神社に行きたいのですが・・・・」すると「さぁ~聞いたことがない」とのたまう。え~!このあたりのことなのに知らないなんて郵便配達員?

「では女城鼻はどのあたりですか?」「さぁ~」。救いの神と思ったのに役に立たなかった。

 

幸いにして地元の人から『どんぐり』という喫茶店を左に入るという情報を得た。そのどんぐりを左に折れ、さらに岬に向かって降りていく。しかしそれらしきものはない。さて?不安ながら先に進むと、車庫の掃除をしている男性に出逢った。

「あのぉ~このあたりに安産の・・・」最後まで言うまえにわかってくださり「こっち!こっち!」と教えてくださった。「お参りするの?だったら鍵を持ってくるけど」と。「宮司さんですか?」「いや、地域で守っている」とのことだった。

 

Cimg0254その男性について赤い鳥居をくぐると・・・・

Mejihana04木が生茂った女城鼻の先端に女城神社はあった。鳥居と社以外何もない無人の神社だった。

 

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社の鍵を開けてもらったので、中に上がってお参りさせてもらう。
右には男の子用の幟、左には女の子用の毬が奉納されていた。それらを持って帰ることもでき、無事生まれたら2個にして返すのがここの習わしらしい。

「持って帰ってもいいですよ」と勧められたけれど、お礼参りに来れないだろうし、お遍路が幟や毬を持ってこの先歩くのも何だからと辞退する。

Cimg0630 その後、2月23日に初孫が授かった。お陰で安産だったようだ。私と同じ『乙未きのとひつじ)』生まれの女児。

 

 

Cimg0255案内して下さった男性が、北に位置する『臼碆(うすばえ)』の景色を見せてくれた。素晴らしいので寄るといいと教えてもらったけれど、今回は時間的余裕がないのでとても寄れない。残念に思った。このあたりはまた訪れるに値する地域だと感じた。

 

女城の読み方は『メジ』・『メギ』・『メジロ』と、読み方が色いろあるという。そんな話を聞いていたら『メジロ(鳥)』がたくさん飛び交っていた。『メジロジンジャだ』とメジロが教えてくれているようだった。厳寒の1月なのにまるで春のような暖かな日だった。

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納め札を渡し、お礼を述べお別れした。そうそうこの男性は数年前に定年でここに戻って見えたとか。そして4月に二人目の孫が生まれるとおっしゃっていた。いい出逢いだった。

 

足摺岬で還暦を迎え、安産祈願もできた。今回のお遍路は満足この上なし。

 


 

Cimg0256鰹節?にしては小さいものが干されていた。猫が来ないかな?

 

Cimg0257県道27号に戻ったけれど、またすぐに逸れて遍路道に入る。登道はきつかった。山中の車道に出たところでブンタンを食べながら休憩。その車道は県道27号に繋がっていた。

 

Cimg02601時間近く山中をウロウロしていたので、広くて青い海に出たら開放感にホッとする。海と山と空しかないなかを歩く歩く歩く。

遠くに見える白い建物からまた県道を逸れて『ジョン万の生地の中浜』に入っていく。

 

Cimg0262振り返ると、山中を超えてきた臼碆の岬が美しい。この臼碆の向こう側は日本で一番最初に黒潮が接岸するといわれている松尾海岸

中腹に見える白い建物は『民宿夕日』。その名の通り、天気さえ良ければ夕日は素晴らしいでしょうね。

 

Cimg0265逆打ち用道標と臼碆の岬。

 

Cimg0267中浜の町に入ると第二次世界大戦防空壕があった。興味深いけれど奥深くて入る勇気はない。入り口からのぞくだけ。

ほどなく中浜小学校。ジョン万を称える児童の作品が微笑ましい。

 

 

Cimg0268そして『中浜万次郎記念碑』があって・・・・

 

Cimg0269堤防の大段幕(ペイント)に迎え入れられる。町あげてジョン万を誇りに思っている様子が伺える。

 

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道幅1mもない細い路地に入っていくと住宅が密集している。 洗濯物のように大根を干す工夫がおもしろい。 

 

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さらに進むと、案内板通りジョン万の生家(復元)があった。

 

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ジョン万が大河ドラマになるといいなぁ~と密かに期待している。
 
 
中浜は海と山に挟まれた1㎞程の小さい町だった。その裏山に入り中浜を後にする。きつい坂道を登ると墓地。そこでお腹がすいたのでザックをゴソゴソと探って、名古屋から持ってきた最後のひとつの小布施羊羹を食べる。大好物。
 
  
山中20分ほど登ると県道27号に出る。右を指すヘンロシールに従うと前方に青い橋が見えた。ヤレヤレ。これを渡れば清水港に出られると喜んだ。すると橋手前で左に入るヘンロ道の道標が。どうしようかと迷ったけれど真面目に遍路道に入った。
(安易にこの青い橋を渡っていたら大浜に逆戻り。渡らなくてよかった) 
 
 

その遍路道は甘くなかった。まずは想像以上に降ることにまず不安を覚えた。たまに『へんろみち』というプレートがあるので道間違えでないけれど、ザブ~ンと聞こえる波の音がなぜか反対から聞こえてくる。何で?何で? 終いには反対方向に向かっているのではないか?という不安にさいなまれた。どこでもいいから人に出逢える下界に降りたい一心で猛スピードで山中をかっとばす。不安だらけの長い道のりだった。

 
山から降りたところは海が見える『厚生町』というところだった。すっかり冷静さをなくしていた私は進む方向がわからないまま左に折れた。数分で反対のような気がしたので戻り、釣り道具屋さんで道を尋ねる。

 

反対に歩き続けたらジョン万の中浜より向こうの大浜に戻るところだった。この日は中浜を過ぎてから地図が読めず、危うく罠にかかるところだった。事なきを得てよかった。
 
 
 

 

Cimg0278清水港をぐるりと回りこんだところにある『足摺黒潮市場』に辿り着く。

考えてみたら今日はろくにごはんを食べていない。コンビニも食堂もないところを歩いてきたので、朝食用のおにぎり2個と中浜で買ったポカリと行動食以外口にしていない。無理をしてしまった。もっとも水分の類は足りていたけれど。

 

 Cimg02794:30 足摺黒潮市場で仕入れた清水のサバ寿司をほおばる。晩御飯食べられなくなるなと思ったけれど、空腹の余りペロリと完食。

 

清水はコンビニ・スーパー・銀行・喫茶店・病院が揃う大きな町だった。今回歩き始めた37番岩本寺がある窪川以来の町だった。

 

Cimg02814:45 今宿『民宿はやかわ』に着。年配女性ふたり(多分姉妹)で切り盛りする家庭的な宿だった。風呂に案内され、なみなみとある湯船にザブ~ンと浸かる。

 

Cimg0282ここは食堂もやっているようで、地元の常連さんと夕飯を共にした。夕飯は品数が多かった。4:30頃に焼きサバ寿司を食べたので、そうは食べられない。手前の豆腐と焼き魚は手をつけず奥の3品を頂いた。今になって思うと、この焼き魚ウマそう!おしいことした。

 

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今日は地図右端の『・今朝の出発点』から『38番金剛福寺』を打って、『・清水』までぐるりと足摺岬を回ったことになる。今朝の宿から347号を西に歩いてきたら1時間もかからず清水港に出られるのにずいぶん大回りした感じがしないでもない。まだまだこの先西海岸は長い。

今日は [E:shoe][E:shoe] 42654歩 25㎞。 目的達成できた充実した1日でした。