2012紅葉 槍沢⑤ 天狗池~南岳小屋

2012紅葉 槍沢④の続きです

 

Cimg2208 天狗池(標高2524m)で45分休憩後、11:00横尾尾根のコル(天狗のコルともいう。標高2700m)に向けて標高差176mの岩塊群を行く。バリエーションでもないのに、ここから先に入る登山者は我々だけだった。

 

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今日一番のナナカマドはコレだ!とはしゃぐふたり。幸せなひとときだった。

 

 

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横尾尾根のコル直下の登山道に大きな雪渓が残っていた。2009年10月にここを歩いたときはなかったので驚く。 これも今夏の雨の少なさが原因だと思われる。

 

 

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大きな岩がゴロゴロある急坂を喘ぎながら登る。日が陰るといっぺんに不気味な景色と変わる。

 

 

Cimg1990 夏には黄色の花を咲かせるミヤマダイコンソウ(バラ科)の葉っぱも秋には色づき、紅葉にひと役買っている。

 

Cimg1992 12:00ちょうどに横尾尾根のコルに到着。

ここまで来ると今まで見えなかった前穂北尾根~屏風岩が見えるようになる。3つ先の谷は涸沢。ここから見えないけれど大混雑していることは想像できた。

それに比べてここはとても静かだった。この本谷右俣カールに降りたことを思い出しながら景色に酔いしれる。

 

このコルに、『ひまわりの造花』をザックにつけた先客がいた。それを見るなり、昨日上高地を前後して歩いたテント装備の若い男女だとすぐわかった。

このひまわりさんに昨日はどこで泊まったか尋ねると、すぐそこ[E:downwardright] と本谷右俣カールを指さした。その場所はすぐわかった。そこは確かにテント泊に快適な場所で、ビバークの名目で数張られている形跡があったことを覚えている。ワイルドな若者たちの武勇伝は今の私にはうらやましいものだった。

 

 

 

横尾尾根のコルからは南岳に向けて進路を西にとる。稜線までの標高差260m。
標高を上げていくと風が強くなり、稜線の霧が細かい雨となって飛んできた。

 

Cimg1996きっとその風が稜線の霧を吹き飛ばしたのだろう。ウソのように霧が晴れ今から登るルートが全貌できた。これが山の不思議というもので大いに喜んだ。

 

Cimg1999 振り返ると、横尾尾根の南斜面からたくさんの色が本谷右俣にこぼれ落ちていた。それを眺める今すれ違った登山者を含めて、私はほれぼれと眺めた。

 

 

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左)クロマメノキ・・・だと思います。何れにしてもツツジ科であることは確か。
右)チングルマ・・・でしょう多分。バラ科。

花や実がついていないので近づいて特徴を観察して勝手に判断する。どちらもバックは前穂北尾根。 

 

 

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稜線に近づくと険しい急坂になる。鉄梯子は冷たかったけれどしっかりつかんで登る。核心部を抜けてなだらかな道を少し行くと・・・・

 

 

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ようやく稜線上の分岐(標高2960)に出た。PM1:30。最悪にも稜線はホワイトアウトで全体が見渡せなかった。

 

Cimg2008 分岐からは南に向かって歩く、と頭に入っている。なのにしばらく行くと登山道は大きく西に蛇行しはじめたので道を間違えたかのような嫌な感じになる。マークをたどっても自分が行きたい目的地へのマークでないこともあるので注意が必要。ここは以前歩いた道なので自分を信じて慎重に歩く。

 

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1:50南岳(3032m)着。少しガスが切れ屏風岩が確認できたのでようやく位置関係が頭に描けた。道標右に見えるのがその屏風岩。

 

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南岳から小屋を見ながらが降る。小屋の先で頭をのぞかせているのが北穂高岳。

 

Cimg2014 昨日深夜から降った雪で雪だるまが作られていた。小さく見えるけれど体長1mくらい。

 

 

 

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小屋に入る前に北穂池を眺めると綺麗に紅葉していた。北穂池に行ったのは2008年9月で紅葉には早い時期だった。

 

Cimg2019PM2:00南岳小屋着

 Cimg20202009年9月のシルバーウィークに泊まったときと同じ『穂高の間』という部屋だった。今回は下の段に4人でゆったりだったけれど、2009年のときはここに10人ぐらいつめ込まれギュウギュウで寝た記憶。

 

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夕食は1回戦目の5時だった。お決まりのワンプレート。なかなかと美味しかった。

 

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夕食が済み外に出ると夕日が沈む頃だった。空もテントも人の顔もみな赤く染まった。

 

外は寒くて、写真を一枚撮ってすぐに小屋に戻

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夕飯時にもかかわらず到着する登山者が多かった。小屋番の対応をストーブにあたりながら見ていた。

なかでもPM6時に到着したソロの男性への対応は興味深いものだった。
「今日は何時に
どこ
から出発して、どのルートで小屋に来たのですか」
「新穂をAM7時にスタートして南新道を上がってきた」
「もう少し真剣に計画して山に登って下さい」
「・・・・・・・・・・

私も遅い到着の経験があるだけに耳が痛い話だった。遅い到着に甘んじていると、いつか痛い目にあう。3000mの稜線では生命を落とすことになりかねないので小屋番のこの注意は真剣に受け止めるべきことだった。

 

少しイビキが気になりながらも、知らないうちに寝ていった。

                                   づく

 

出発地  :槍沢ロッジ   1820m    AM5:45発
到着地  :南岳小屋    3000m        PM2:00着 
 
標高差  :          A      1198m          4時間43分      
                D           93m                  
 20分              
行動時間:                                        8時間45分
ピーク             3032m南岳