2011北アルプス夏山縦走(タロウ~ゴロウ)②

平成23年7月15日(金)[E:sun] 初日

名古屋駅7:50発、しらさぎ1号に乗車。
今回の相棒は女山友A。富山に着くまでの間に今計画のおさらいをする。

 

富山駅11:27着。駅構内で富山名物鱒寿司を昼飯に仕入れる。

 

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前回のブログで書いたが、名古屋から登山口である折立までの便は非常に悪い。
10:30が最終なので、富山駅で停滞を余儀なくされる。そんなにのんびりできないので、折立までタクシーで行く方法を考えていた。

 

折立までは(運賃15500円+有料道路1800円=)17300円もかかるけれど、富山駅での停滞時間(これが貴重)と宿泊費を考えたら高くない。これは、事前に太郎平小屋に相談して、5時半ごろ到着予定になることを了解してもらえたからできることなのだが。

 

で、タクシー乗り場に向かう。
山女が通常価格で乗るわけがない。ザックを背負ったまま、ありったけの笑顔で値段交渉に取りかかる。

 

山女私 「おじさ~ん、オリタテまでふたりなんだけどぉ~いくらで行ってもらえますか?」

運転手「ここに書いてあるように15500円だけど、サービスすっちゃ、乗って乗って」

山女A 「以前13000円で乗ったことがあるんだけど、それで行ってもらえない?」

運転手「今は値上がったけど、いいちゃ、いいちゃ さっ、乗って乗って」

 

そう言い終わらないうちに、タクシーの運転手は、もう我々のザックに手を掛けている。
希望する金額で行ってくれるのかわからないまま、コレに乗った。

 

乗車してすぐ、おじさんはコンビニに寄ってお茶(ペットボトル)を買ってあげるという。行動中の水は用意してあるので、いらない(余分は持ちたくない)のだけど、そんなこと言えずお任せしたのだが、どうも自分の昼飯を仕入れるために、どうしてもコンビニに寄りたかったようでもある。サービスするってコレじゃないよねと心配になってくる。

 

歳は60代後半だろうか?よく喋る運転手だった。ずっと嬉しそうに喋っていた。こちらは、とにかく運賃をまけてもらいたいので、常に愛想よく相槌を打つ。
 

Cimg0116                      キヌガサソウ(ユリ科)花は直径7~8㎝ 

 

有料道路(お客負担)に入り、有峰湖の横を通り、1時間半かかって折立に着いた。

おじさんは、紙と鉛筆で何やら計算をしだした。ひとりごとなのかモゴモゴと徐々に値下げした金額を言うのだ。どうも原価計算をしながら、こちらの出方を伺っているようにもとれる。

 

私「で、全部(有料道路1800円含めて)でいくら払えばいいですか?」

運「モゴモゴ・・・・・・・・13000円ちゃ!」

 

おじさんのその潔いセリフで成立! 13000円払ってタクシーを降りた。

実は運賃13000円+有料道路代1800円=14800円を最低でも払うつもりでいた。
「へぇ~」と「ふ~ん」と「そぉ~」の繰り返しだったが、1時間半もおじさんの話につきあった甲斐があったようだ。 山女は大いに喜んだ[E:scissors]

 

車中での鱒寿司の昼飯(おじさんの御厚意のお茶付き)の許可はありがたかった。何より今日のうちに折立まで運んでもらえたのは、このおじさんのお陰だった。丁寧にお礼を述べた。

 

 

前置きが長くなったが、ここからが山行記の始まり。

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1:05 折立(標高1350)を出発し、今日の目的地『太郎平小屋(標高2330)』に向かう。
樹林帯を抜けるまでの2時間、汗だくになって歩いた。

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三角点(1870)まで来ると一気に視界が開け、ニッコウキスゲの黄色がパッチワークのように草原に映える。足元にはイワイチョウ。振り向けば有峰湖の湖面がキラキラ輝く。ときおり霧が流れ爽やかな風が吹く。登るには快適な条件だった。

 

 

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4:30 五光岩展望台(2196)に着くと、ガスの切れ間から突然薬師岳↑が現れた。おぉぉ~薬師岳よ!そこにいたの? 2008年(H20)以来3年ぶり。飛びついて抱きつきたいが、それは叶わぬこと。名峰にココロオドル。
ベンチに寝っ転がってしばらく眺めていると、ガスは完全に消え、薬師岳山荘までくっきり見えた。立派な山容にうっとり[E:heart04]

 

 

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五光岩展望台を過ぎてからは、西日が容赦なく照りつける中を歩くことになった。
行く手に太郎平小屋をとらえた↑。あとひと息だがこれがキツイ。山女A[E:sad]はバテだし、距離が開く。 
  

 

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5:35 Aを置いてきぼりにして、一足先に太郎平小屋に着く。薬師岳が出迎えてくれ何とも嬉しい到着となる。
夕食時間帯なのか小屋前は空いていた。

 

 

宿泊手続きを済ませ、6時ころ夕食を頂く。我々を含めて3組が遅い到着だった。
食堂の窓から遠くに見えるのは鷲羽・水晶か。稜線に上がらないと見られない景色だ。

 

2008年8/10に泊まったときは、3階の屋根裏部屋で野戦病院状態で休んだが、今回は1階のカイコ棚下段(布団4枚敷かれたカーテン仕切りの小部屋)を与えられた。ふたりきりで使うには充分過ぎた。

 

 

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寝る前に小屋の外に出たら残照が美しかった。

雲海は下界とを遮断していた。煩わしいことは何もかもあの下界に置いてきたのだ。
私は山上の別天地で解放されていた。

 

          出発地  : 折立     1350m 1:05発 
          到着地  : 太郎平小屋2330m 5:35着
          標高差  : A980m   3時間30分
                  D  33m          8分 
          行動時間: 4時間30分

 

                    翌日につづく