平成22年10月12日(火)[E:sun]
夜中に何度か足の痛みを感じて目が覚めたが、起きてから歩くには困らなかった。
私は左1番手前で休んだ。板の間より20センチばかり高いベッドになっている。
さて、このまま上高地を出るのもつまらない。かといって涸沢カールをピストンする体力は残っていない。手軽にひょいと行けるところ・・・・・岳沢にしよう!即決だった。
徳沢園↑を出たのは7:50、ゆっくりだった。
歩き出してすぐ、同室だった女性(Oさん41歳)と一緒になった。彼女は長い黒髪の美人さんだった。本当に綺麗で、女の私でも見惚れながら話したものだ。男性だったらノックアウトだね。
彼女は初めての登山で、横浜から夜行バスで上高地入りし、昨日はソロで涸沢~パノラマコースだと話してくれた。どうもパノラマコースは誰かに誘われたらしいが、その行動力に感心した。
今日の予定を聞くと、「バスターミナル2時のバス」とOさんは言う。「それまで岳沢に行かない?涸沢ほどの派手さはないけど」と私。彼女に岳沢の景色を見せて、この際北アルプス病患者にさせてしまおうという考えだった。まったく私は悪いヤツだった。
明神橋からの明神岳もくっきり。格好がいい。梓川右岸へ渡る。
倒木の苔の色の美しさ↑に、思わずシャッターを切る。
岳沢登山口から小一時間登ると西穂高岳が望めた↑。どれが独標で西穂高岳なのかよくわからないがいい景色だった。
さらに15分ほど登ると樹林帯を抜けた。西穂高から流れ落ちるダケカンバの黄葉は見事だった。
そして、北に目をやれば奥穂~吊尾根。ため息をつきながら飽きることなく眺めた。
あの吊尾根の向こうが涸沢だとOさんに説明する。いつの日かこの先の岳沢ヒュッテで泊まって、前穂~吊尾根~奥穂~涸沢と歩いてごらんと勧めた。彼女をイチコロにさせるつもりが、私の方が穂高に心を奪われていた。それほど穂高は私を魅了した。
私はもう少し登りたかったがバスの時間が気になる。彼女をひとりで降ろすわけにはいかないので今回はここまでにして下山した。
岳沢湿原の水の色はエメラルドグリーンでとても美しかった。美しいものを見ると何故幸せだと感じるのだろう?どういう仕組みでそう感じるのかわからないが、私は幸せに包まれていた。
あのあたりまで 行ったんだよね、とOさんと岳沢↑を見上げる。
彼女の初北アルプスは楽しかっただろうか。この先も何度か足を運んで、美しい景色をたくさん見てほしいと私は望んだ。彼女との数時間が楽しかっただけにお別れはちょっぴり寂しくもあった。
バスターミナル前のインフォメーションセンター↑をのぞいていたら、コイン式シャワーがあった。え?いつからあったの?早速利用する。汗を流すには充分だった。
さっぱりしてバスに乗る。[E:note]また来るときには~笑っておくれ~心の中で歌いながら上高地を後にした。
緑色1日目登り 320m 行動時間4時間50分
桃色2日目登り 880m
降り1200m 行動時間12時間30分
黄色3日目登り 300m
降り 300m 行動時間7時間
高度計つきの時計をなくしたので単純に計算した数字です。
これでおしまいです。来年の北アルプスまでは地元の鈴鹿でトレーニング山行に励みます。長い山行にお付き合いくださってありがとうございました。