平成22年9月20日(月・祝)☂
朝食後、「お世話になりました。お先に・・・」と言っては、ひとりまたひとりと出発していった。私も続いて雨具をつけ、残り少ない同室の人に挨拶をして部屋を出る。
6:08ザックを担ぎ小屋の外に出た。昨日そこにあった鷲羽岳は、影も形もなかった。くるりと向きを変え、昨日来た道をとぼとぼ帰る。
昨晩、偶然出合ったO君のテントを探したが、わからなかった。雨のテント撤収ほどイライラするものはない。わからないのを幸いに挨拶せずに通り過ぎてきた。
この先の目的がないというのは何と寂しいものなのか。しとしと雨のなか、むなしい気持ちで弓折分岐に向かった。
カラフルな団体が列をなして進んでいく。
辛うじて槍の頭が確認できた。ナナカマドを相手に「何で雨かねぇ~」と愚痴をこぼす。
7:08弓折分岐に着。穂高稜線は何も見えなかった。しばらく立ち休憩し、私は笠方面に向かった。
↑笠方面へ少し登った所から弓折分岐を眺める。鏡平小屋に降りていく人が多い。こちらに来る人はいない。
初登頂の弓折岳。
誰もいない代わりに雷鳥が3羽いた。写真を撮ろうにも雷鳥はなかなかじっとしていない。私は金魚の糞のごとくついて歩きまわった。が結局写真は撮らせてもらえなかった。
7:45弓折岳(2592)
8:05大ノマ乗越(2450)
9:15大ノマ岳(2662)
小池新道入り口(左俣)が見える↑。穂高稜線は雨雲に隠れて稜線歩きの楽しみがない。
チングルマ↑の写真を撮っていたら、ひょっこり老人男性が現われた。しばらく立ち話をした。「そうだ、オレンジ如何ですか?重いから助けてください」とおっしゃる。断る理由もないからお言葉に甘えいただいた。そのあと、この男性に会うことはなかった。見通しが悪く、私の先なのか後ろなのかもわからなかった。
一瞬、穂高稜線が見えた↑。去年の今頃大キレットを歩いたが、今日のような天気だった。
きっとあんな中を歩いたのだろうなとじっと見つめた。
振り返れば、遠くに双六小屋が見えた↑。ここまでの3時間の行程がひと目で見られ感慨深い。(訂正:東鎌尾根→西鎌尾根)
9:15大ノマ岳(2662)では穂高稜線は全然見えなかった。先客の男性はもう一本タバコを吸うというので私は先に発った。
9:45秩父平(2533)に降りた。お花の時期は素晴らしい所だと聞く。休憩していたら団体が来たので先に発つ。
10:04秩父平から少し上がったところから振り返る↑。休憩しているのがその団体。
2667へ登る途中はタカネヨモギ↑が多かった。このあたりは秩父岩といって奇岩が多い。この靄の中で見ると何だか怖い顔に見える。
2667に着くと進路を南にとり、さらに登る。すると植生が変わり、ウラシマツツジ↑が多くなった。綺麗に紅葉しはじめ、私を楽しませてくれた。10:41
2800まで登ると秩父岩の上に出る。そこから抜戸岳までは、ほぼ水平移動。しかし眺望がないので抜戸岳まで退屈な道だった。
抜戸岳は登山ルートから少し登る。以前寄ったので寄らないつもりでいたが、急に気が変わり11:23抜戸岳(2812)着。晴天ならまだしも、この天気では誰もいなかった。穂高稜線が見えるわけでもないので直ちに発つ。
11:35 笠新道に向けて杓子平に降りる。ネバリノギラン↑のオレンジが鮮やかだった。
杓子平は濃霧の中↑で、いったいどのあたりを歩いているのかわからなかった。慎重に○を辿る。
それでも登ってくる人は5人ほどいた。道を譲ってもどうぞと反対に道を譲られる。皆しんどそうな足取りだった。
お花の宝庫の杓子平。まだアザミが群生していた。オオヒョウタンボク(実がひょうたんのようにくっついている)が雨に濡れて綺麗だった。
こういう天気だからこそ見られるのが雷鳥。グーグーと仲間を呼び合っていた。
杓子平で10羽以上見かけた。大収穫だった。
まだかまだかと駆け下り、12:42杓子平(2469)にやっと着いた。60代のご夫婦が湯を沸かし昼食の様子だった。今から笠に向かうという。この天気で今から?と思った。
私はここで新穂高の最終バスの時間を確かめた。4:55が最終だった。ということは3:45には笠新道入り口に降りたい。下山コースタイムは3時間。ということは今から降りてぎりぎりの時間だった。会ったばかりのご夫婦に別れを告げ下山した。
1時間ばかり降りたとき、ひとりの中年男性に会った。今から笠に行きたいが行けるだろうか?という相談だった。ざっと計算しても小屋到着は6時を過ぎるだろう。そしてこの天気だから考えてください。と伝え、急ぐからといってその男性を置き去りにしてきた。なぜやめなさいと言わなかったのかとしばらく反省しながら降った。
3:20 笠新道登山口に降りた。沢水で顔を洗い、着替えをし、パンをかじり
ザックを整え、新穂高に向かった。
途中、テント泊男性と一緒に歩いた。彼は新穂高から一日で太郎テン場まで行ったという。日が暮れていたとも言っていた。何がそこまでさせるのだろうか。そんな話をしながら歩いた。
4:55の最終バスに間に合ってほっとした。携帯電話を忘れた今回の山行。反省する事だらけであった。
9/19(日)わさび平小屋→双六小屋
平均上昇率(1分あたり) 4m
垂直上昇高度の合計 1387m
平均下降率(1分あたり) 8m
垂直下降高度の合計
219m
上昇/下降の回数 1回(標高差が50m以上でカウント)
総時間 7時間26分(休憩含む)
9/20(月)双六小屋→笠新道入り口
平均上昇率(1分あたり) 4m
垂直上昇高度の合計 767m
平均下降率(1分あたり) 8m
垂直下降高度の合計
1961m
上昇/下降の回数 3回(標高差が50m以上でカウント)
総時間 9時間6分(休憩含む)