2010北アルプス(新穂~双六~笠新道~新穂)②

平成22年9月19日(日)[E:sun]

至れり尽くせりな小屋での朝食をいただき、5:30標高1400のわさび平小屋を出発。
7月の山行で降りてきた奥丸山を眺めながら小池新道入り口(標高1500)まで歩く。

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この小池新道に入るのは2回目。前回(2004/8/11)は暑い中をテント担いで登った。今それをやれと言われたらできるだろうか?自信がない。

  Img_3530 オオカメノキ Img_3536 マユミ

この時期、目を楽しませてくれるのは実。なかなか趣があって、何度か立ち止まっては眺めた。

 

5:30わさび平小屋(標高1400)
5:52小池新道入り口(1500)
6:43秩父沢(1705)
7:05チボ岩(1772)
7:33イタドリケ原(1886)
8:30シシウドケ原(2090) 

わさび平小屋から何度か休憩をとり、約3時間でシシウドケ原に着いた。花摘みで奥の方へと行ったら、大ノマ乗越に上がれる登山道を発見した。

 

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シシウドケ原から登ること約1時間。突然、穂高稜線が現れ↑感激していたら、そこが鏡池(2300)だった。

今年の7月に歩いた中崎尾根が、鏡池のすぐ後にあるかのように見えた。実際は谷を挟んで2kmほど離れているのだが。標高は中崎尾根(2350程)の方が少し高いがこことあまり変わらない。6年前と違う眺め方ができていることが嬉しくもあった。

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鏡池から数分で鏡平山荘。小屋からの穂高稜線の眺めも素晴らしかった。夕映えの穂高を見るために、一度はここに泊まりたいと思っている。(テント場なし) 

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山荘のコーヒーをポットにテイクアウトし、ひょうたん池の橋を渡って9:54山荘を後にした。

Img_3544                              オヤマリンドウ

ここから先は景色が素晴らしく、数歩登っては立ち止まって景色を眺めた。そんな具合だから追い抜かれっぱなしだった。

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鏡平山荘から40分登ると、鏡池と鏡平山荘↑は小さくなった。鏡池から中崎尾根が近いように見えたが、うんと離れている事がよくわかるようになる。細部まで観察しながら登る。

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10:55弓折分岐(2560)に着↑。オーバータイム覚悟で登ったのだが、ほぼコースタイム通りだったのには驚いた。私を追い抜いていった人たちは超健脚タイムということになる。

大天井岳が「お~い、こっちだぞ~」と北鎌尾根の後から頭を出していた。こちらも背伸びして、「その節はどうも・・・」などと挨拶する。テイクアウトコーヒーつき、西鎌尾根越の会話は何とも贅沢な時間だった。

 

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11:30雪見平(2605)のベンチで小休止。東鎌尾根を除いた槍の尾根4本(穂高稜線・北鎌尾根・西鎌尾根・中崎尾根)が見渡せた。ちなみに、蒲田川の源流はこの西鎌尾根の樅沢岳のようだ。

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昨日、双六岳↑に登ったという30代のご夫婦とすれ違う。今から東京まで車で帰るとか。運転より登山の方が楽だと言うから笑って別れた。

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11:57くろゆり平(2606)を通過すると、前方に鷲羽岳↑が鎮座している。その手前が双六小屋。

この景色を見て、6年前のテント山行のときのことを思い出した。あのときは三俣山荘のテント場まで行くつもりだった。が、この双六テント場を見た途端、今晩はここにしようと急遽計画変更したっけ。とにかく暑くってみなバテバテだったのだ。でも楽しかった。あれはあれで。

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なんともなつかしい景色だ。楽しそうなテント場を横目に双六小屋(2550)に向かった。

早い到着(12:35)だったので夕食は4時半だと一方的に決められた。それでは、双六岳でゆっくりするつもりができそうにないので、遅い夕食に変えて欲しいと願いでたが無理だと。小屋泊はこういう融通がきかないのが難点だ。

荷物を預けて歩くぞという気持ちが萎えた私は、部屋に案内されてから、ふてくされ寝てしまった。1時間半も。

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3時ころゴソゴソ起きだし散歩に出る。4時半の夕食に戻れる範囲で双六岳を目指す。

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蒲田川源流の樅沢岳↑。西鎌尾根をやるときは、多分、槍からこっちに歩くルートをとると思う。あれを降りてくるんだなとシュミレーションする。

 

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小屋から標高100登った巻き道分岐(2650)まで来たら視界が開けた。
明日はあそこまで行くのだと遠くに目をやる。わくわくする景色だった。

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東に目をやると、樅沢岳越に岩稜帯の穂高稜線が見えた。さすが穂高だ。貫禄があった。
天気は最高。もう少しこの景色のなかにいたかったがタイムリミット。ふてくされて昼寝したことを悔やみながら下山した。

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クルマユリという部屋からの鷲羽岳↑。到着が早かったのでいい部屋なのかもしれないと思った。

夕食は天ぷらだった。からっと揚げたてで、山小屋と思えないほどボリューム満点で大変おいしかった。テント泊や素泊まりではとても味わえない。

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お腹もふくれ、もう登山客は来ないだろうと同室の人と話していたら、20代前半の奈良の山ガールが5時半に到着した。到着早々「今日はめっちゃ楽しかった」とハイテンションで話し始める。聞けば雲ノ平から祖父~双六経由で小屋着。夕日が穂高に映え最高だったと言う。

その彼女が素晴らしい景色を満喫していたとき、私は天ぷらがうまいと食べていたことに気づく。馬鹿丸出しの自分の姿が浮かんだ。ザックの中にぺっちゃんこになったパンが2個あったのだから夕食なしという選択肢もあったはずなのにと話を聞きながら悔やむ。

 

部屋の内部↑。7人部屋に6人だったのでゆったり横になれた。女部屋で皆ソロ。20代山ガールから最年長は60代後半?の6人。 昨日東京から夜行バスで来て明日帰る人や、カメラ・三脚持参の人だったり、行動力あるおなご衆ばかりだった。

 

Img_3570                              シラタマノキ

このあと偶然の出会いがあった。北穂池や甲斐駒ケ岳黒戸尾根を案内してもらったO君(31歳)と会った。彼は昨年10月に信大山岳部60周年記念でヒマラヤ遠征し、無事戻って以来の再会だったので嬉しい出会いだった。今回は双六小屋の小池氏(写真家)を尋ねてのプライベート山行だとか。O君とは山で2度も偶然に出合っている。3度目はどこだろう?

 

談話室で明日の天気予報を見る。明日も明後日もその次も☂で、☀マークがない。本当は鷲羽から水晶に行き、温泉沢の頭から高天原に降り、雲ノ平を回って新穂に戻る計画だった。が、これでは行っても雨の中を歩くことになる。

 

実は、今回携帯電話を持ってくることを忘れたので、双六から奥に入る事をどうしようかと悩んでいた。でもこの天気予報で決心がついた。計画は双六小屋でやめ、新穂に戻る事にした。そのかわり未踏ルートの弓折岳~抜戸岳をすることにした。

部屋の皆はどうしようと悩んでいる。その気持ちわからないではない。

                                つづく