2008高知(29~31)

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平成20年4月26日(土) 

バスが赤いはりまや橋の横を通るところで目が覚めた。
ちょうどお遍路さんがいて絵になる。車窓から振り返って見入った。
私もお遍路になるべく降り支度を急ぐ。

バス[E:bus]は、6:50予定通り高知駅前に着く。
高知駅に降り驚いた。駅構内は様変わりしてすっかり綺麗になっていた。

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               新しい構内から旧駅舎を見る。2階では食事をしたしお土産も買った。当時を懐かしむ。

新しい駅の喫茶店でモーニング後2階に上がり、高知駅7:32発の[E:train]JRに乗る。
名古屋から一緒だった女性遍路は、土佐一宮(いっく)で降りた。
話しはしていないが、お互いに目で合図を送る。お互い楽しもうとでもいったところか。
上手く説明できないが、歩き同士ならではの挨拶だ。

私が下車した土佐長岡は、駅舎も待合イスもない寂しい駅だった。
でも歩き始めるには、このさびれ具合がちょうどいい。8:00夫と二人で歩き始める。

前回区切ったへんろ道本線まで戻る。
どうしても見ておきたいものがあるので15分ばかり逆打ちし、新しくなった松本大師堂を見に行く。

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大師堂と遍路小屋が一緒になった立派な建物だった。
遍路を待ち構えていた地元のおばちゃんカメラマン?に散々モデルにされる。
言われるまま、あちらを向きこちらを向く。お遍路では私だってモデルになれるようだ。
お接待で小夏を2個もらった。

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JRを越すころ、逆うちの女性(ソロ)が歩いてきた。
話をしたかったが、葉タバコの手入れをしている人と話しているうちに通り過ぎていってしまった。

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29番に向かう途中、1巡目のとき買いそびれた「へんろいし饅頭」を買ってみる。
以外と大きいのでびっくり。ミニアンパン並みだ。

   
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国分川を渡るとほどなく29番国分寺。
仁王門で一礼。まっすぐのびた石畳。その先にある新緑が目に飛び込む。
1年ぶりのお遍路、道中の無事をお願いした。

門前にある遍路用品を扱うお店に入る。
ここの納め札はカラーで裏に般若心経が書かれている。
少し高いので迷ったが、この店特製であるとご主人がしきりに薦めるので買ってみた。
お接待されたときに出したら喜んでもらえそうだと思った。

この先、のどかなあぜ道をのんびり歩く。
この道を歩きたくて、また来たといっても過言ではないほど私はここが好きである。
高知医大病院に抜けるまでのくねくねした道は今回もよかった。

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以前はなかった蒲原ヘンロ小屋(5号)で休憩。先ほど買った「へんろいし饅頭」を食べる。
遠くからチリーンチリーンと聞こえてくる。ほどなく、途中で休憩していた男性歩きへんろが現われる。笑顔で出迎える。そして、へんろいし饅頭を差し出すと快く受け取ってくれた。
鈴の音の合図っていいものだ。お遍路には便利な道具があっておもしろい。

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30番善楽寺。どこから入るのが正式なのか。わからないお寺である。

大師堂前で団体客の男性老人がつまづき、賽銭をばら撒きながら転んだのには驚いた。
かなり足がふらついている。この先、大丈夫なのだろうか。

一宮神社の長い参道を抜け、道なりに南に向かう。
ほどなく、遠くに31番がある五台山が見えるようになる。
国分川を渡り、消防署からへんろ道に入り、高須橋を渡り、土佐電鉄御免線を越え、五台山にじりじりと近づく。

31番に上がる前に、今宿に寄って荷物を預けたので楽に上がれるはずなのだが、やはり登りはきつかった。

今回の目的のひとつである「牧野植物園」に出る。
開園50周年を迎えリニューアルされたので、ゆっくりしていく計画である。
それにしても以前(5年半前)の様子が想像できないほど綺麗になり驚く。

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とてもへんろ道と思えない素敵なところでお庭を眺めながらランチをした。
土佐牛と高知で採れた魚や野菜はどれもおいしい。

      

 
     
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牧野富太郎(植物学者)が愛した山野草がたくさん展示されていた。
私にはとても珍しいものがたくさんあって、ゆっくり見学する。

                 

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南園から竹林寺の五重塔を目にするまで、お遍路に来たことをすっかり忘れるほど植物園を楽しんだ。

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桜の時期は全山ピンク色の染まるとか。また機会があれば来てみたい。
歩きへんろは入場料が無料だった。とてもいい時期に来れたことを喜んだ。

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31番竹林寺。植物園フェアーにあわせてか竹林寺境内にも花が彩られている。
綺麗なんだがどうもしっくりこないような気がした。無理に置かなくてもと感じた。
もうひとつ残念だったことがある。無料休憩所が有料の茶店になっていたこと。
好きなお寺のひとつだけに、俗化されていくことを残念に思った。

納経所で女性単独の歩きへんろ(青森Yさん)に出逢う。
聞けば今日から歩き始め、高知駅から車道を上がってきた、宿も決めていないと言う。
私の宿を聞かれたので答える。その女性もそこにすると言ってすんなり決まった。
私は、この女性が今宿にあふれなくてよかったとほっとした。それにしても勇気がある女性だとこのとき思ったのだが、この先だんだんこの女性の歩き方がわかってくることになる。

へんろ道を線で繋ぎたいというこだわりがまだ捨てきれない私は、竹林寺を南に下りて大回りをして宿に戻る。
牧野植物園を通ってこなかった女性遍路にそちらを降ったらと勧めたのだが、我々についてくるという。あの景色を見ずしてもったいないと思ったが、自分だってこだわるばかりにその道を選んでいないではないか。やはりもったいなかったなと悔やんだ。
こだわりは悔やむこととセットなり。お遍路ではそんな自分と何度か出会う。

4:40ホテル土佐路たかすに着く。
この宿は食事なし。宿の前にある食堂の2割引券をもらって夕飯に出る。
女性遍路も一緒だった。

お遍路に来たといえないような初日が過ぎていった。

 

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