長野県北アルプス(唐松岳・五竜岳)

平成19年9月16日

先週の鳳凰三山の筋肉痛を少し残して、今回は長野県白馬村の唐松岳~五竜岳です。

名古屋7:05発「しなの」に乗車。
松本で大糸線に乗り換えてからは、雄大な北アルプスの峰々が連なる。
自分が歩いた稜線は、惚れ惚れと魅入った。
今度はあそこから先を歩いてやろう、だなんて、今から唐松・五竜に登ろうというのに、もう次の山を考えている自分だった。呆れたものだ。
とにかく、JR白馬駅まで、車窓からの後立山連峰に酔いしれた。

ゴンドラ・リフトを乗り継いで標高1844mまで一気に上がる。
ゴンドラは囲ってあるので暑かったが、リフトはさわやかな風を受け気持ちがいい。
時々、山野草が足に触れ、何ともいえない贅沢な空中散歩である。
大好きなワレモコウのスライドショー、私は夢の世界に吸い込まれていった。

11:50八方池山荘(H1844)を出発。
厚い雲が垂れ込めている八方尾根を登っていく。

1時間ほどで八方池。
本来なら白馬三山の眺めがよいところなのだが、池さえ雲の中で見えやしない。
ここまで上がってきた観光客は残念そうだった。  

Img_0100 さらに30分ほど上がると雲の上に出て晴れてきた。

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扇雪渓1:40~1:55

丸山を超えたころからまた雲の中に入り、視界がきかない中をひたすら歩く。
標高差776Mを3時間半費やしたところで、ひょっこり唐松岳頂上小屋前に出た。

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明朝の剣岳・立山

すると途端に視界が開け、北アルプスの俊英・剣岳が出迎えたくれた。
重いザックを背に登った苦労は大変だったが、こんな心地よい興奮があるから山はやめられないのである。
ザックを下ろすことも忘れ、剣岳・立山の峰々を気が済むまで眺めた。

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小屋(H2620)で宿泊手続きを済ませ、空身で唐松岳(H2696)に登る。
皮肉にも雨が降り始め、頂上からの眺望がないことにがっかりしながら登った。

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この通り、眺望ゼロで文句も言いたくなる始末。
そんな時、不帰ノ嶮(かえらずのけん)を上がってきた若者がひょっこり現れた。
とにかくこんなに視界がきかない中、不帰ノ嶮を無事通過してきた若者に労をねぎらった。

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テント場は、小屋からずいぶん下がった斜面にあった。
水場がないここは、とても快適なテント場とはいえない。
それでも、今夏テント泊をしていない私はうらやましく眺めた。

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左:夕食
右:朝食は6時からと遅いので弁当を用意してもらう。
これで8900円。北アルプスは少々高い。
この小屋は水場がないので、歯磨きの水は1リットル160円だったかな?
この不便さがまた楽しいと言えば、「変なやつ」といわれるのでしょうね。

9月17日(月・祝)

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左:朝弁を小屋で食べ、5:17支度をして小屋を出る。
    唐松岳の右肩に、昨日見えなかった不帰ノ嶮が見えた。
右:雲海の中、今日一番の朝日を見る。

夜明けの景色を堪能し、小屋を5:30出発。
やさしい朝の光を浴びながら、牛首の険しい岩稜帯を慎重に通過する。

 

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猛烈な風を受けつつも、落ちるものかと気合をいれながらクサリ場を通過する。
左:この稜線をたどって五竜岳に向かう
右:朝日を浴びる五竜岳

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危険なクサリ場からの剣岳・立山はまた格別で惚れ惚れする。
クサリをぎゅっと握りながら、剣が見守ってくれているような気がした。
この景色の中を歩ける幸運を喜んだ。

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牛首を通過しほっとするも、まだまだ気は許せない。

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左:遠見尾根側の雲海
右:雲は稜線を越えられず、黒部側はすっきりしている。

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               最低鞍部に咲くシラタマノキ

唐松頂上小屋(H2620)から急降下し、アップダウンを繰り返し最低鞍部H2315まで降りる。

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振り返ると左奥の唐松岳から牛首~大黒岳(H2380)を超えてきたことがよくわかる。
最低鞍部から白岳(H2541)を登り返すと・・・・

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五竜山荘がようやく見えてきた。
遠見尾根分岐を見送り山荘まで降る。

8:10五竜山荘(H2490)に着き、荷物を預け空身で五竜岳(H2814)に取り付く。
が、空身でも足が重くて思うように登れない。
これでザックを背負っていたらと思うとぞっとした。

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いくらも登らないのに休憩をよくした。
そのたびに、歩いてきた道を振り返っては眺めた。
八方尾根や遠見尾根の方の雲はどうしても稜線を越えられないようだ。
雲は後立山連峰でぴしっと区切られていた。

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クサリ場を2ヶ所越え、鹿島槍が顔を見せるころになるとさらに傾斜がきつくなる。
山頂直下の岩壁にへばりつき、慎重に三点確保で上がる。
1時間15分かかって五竜岳に到着、と思いきや、まだ南峰で鹿島槍への分岐だった。

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鹿島槍への稜線もなかなか険しそうである。
この稜線が、「いつでもお出で」と私を誘っている。
いつの日か、この先の縦走路を歩かせてもらおう。 

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左:五竜岳頂上から唐松岳・白馬方面・富山湾・能登半島まで望めた。
右:雲がかかってきたが剣岳・立山に手が届くようだ。
   剣岳で「あれが五竜だ」といっている登山客のことを想像するだけで楽しいものだ。

写真撮影はイマイチだが、これだけの景色に出会えたことは幸運だった。

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景色を堪能し、9:55下山開始。(左奥にある小屋まで戻る)
五竜山荘から、登りは1時間15分、降りは40分だった。

小屋に戻り、大休憩後、11:10遠見尾根を降った。

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いくつものアップダウンを繰り返しながら雲の中に入る。
雨が強くなり雨具をつけるはめになるが、雲を抜けると下界は晴天。
この遠見尾根の4時間の下山は、今朝4時起きにはつらいものがあった。
3:15テレキャビン(ゴンドラ)に着いたころはふらふらだった。

JR神城までの15分を歩くつもりだったが、タクシーをみつけたら当然のように乗ってしまった。
何たる情けないことかと大いに恥ずかしく思ったが、実に楽だった。

来週の連休は、もう出かけないぞ、休養しなければと感じた帰路だった。