2011北アルプス紅葉(槍沢)③

平成23年10月9日(日)[E:sun]

4時半起床。すぐに朝食の列に並びに行く。

ここ槍沢ロッジの朝食は先着順なので並ぶシステムになっている。デパートのバーゲンセールかのような(並んだことはないが)長蛇の列の最後尾につく。1回目の朝食(この時は5:00)何とか食堂に入れ、ふぅ~。小屋の朝食をあなどるなかれ。

 

支度をして小屋の外に出る。団体がストレッチをしていたので私も大きく背伸びする。
6:05槍沢ロッジ(標高1820)を出発。

 

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6:40~7:10ババ平。このテント場には簡易トイレがひとつしかないので長蛇の列だった。
テントを縫って進む。

 

 

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7:35大曲(おおまがり)で小休止。ナナカマドは赤くなっているけれど霜で縮れて見栄えが悪い。ここから東鎌尾根(水俣乗越)に上がる道がある。いつか通ってみたいと思っている。

 

 

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こんなふうに霜が降りている。雪が被るまで草木は寒かろうに。

 

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9:15やっと分岐に着く。9:40まで休憩(標高2350)ナナカマドの赤はどこにもなかった。

槍沢ロッジからここまで3時間10分もかかっている。(コースタイムは1時間40分)ババ平で30分も休憩したのでそれを引いても2時間40分。ヘタレ夫>ヘタレ私が原因。夫はすぐに息が切れ休憩したがるのでこうなってしまう。亀足にも程があるが仕方がない。パートナーなのだから見捨てるわけにはいかないのだ。

 

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11時近くなるとようやく槍が見えてきた。ここを登るのは10年ぶり。槍が見えてからも道のりは長かった記憶だ。(亀足で槍の肩まであと3時間)

 

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左)振り向けば2010年に西岳から激下りした登山道が手に取るように見え懐かしく眺める。一度はヒュッテ西岳で泊ってみたいものだ。
右)常念岳

 

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11:25坊主岩下の道標(亀足で槍の肩まであと2時間半)

道標の足元に写真右のプレートが埋め込まれていた。山への想いが刻まれている。写真を大きくしてご覧ください。

 

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11:35~43播隆窟(ばんりゅうくつ) 槍ヶ岳を初登攀し開山したといわれている播隆が篭った岩屋。中には何やらいろいろ祀られていた。

 

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播隆窟から東鎌尾根を見ると、大槍ヒュッテ目指しているひとりの登山者が目に入った。ジグザク登山道を目で追いながら、今回のコース変更を思いつく。

この先、槍の肩~大喰岳~中岳~南岳小屋の計画なのだが、この亀足ペースでは槍ヶ岳山荘止まりにしないといけない。残念だが予定変更して、明日は東鎌尾根~大槍ヒュッテ経由で槍沢に降りることに決めた。

槍沢をピストンは虚しすぎるのでその考えは全くなかった。東鎌尾根は北側の景色も見られるし、わずかでも初めてのルート(上記写真の赤ルート)を降る案は悪くないと思った。

 

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12:34殺生分岐 ずいぶん槍が大きくなってきた・・・気がする。(コースタイムではここから槍の肩まで40分)

 

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荒涼とした槍沢に殺生ヒュッテの赤い屋根が映える。
休憩ばかりしているので大休憩など必要ないのだが、行程を短くしたので大休憩を取る。

槍沢ロッジから7時間余。予定では大喰岳に向かっているはずだった。なのにまだ肩にも届かないでいる。山行トレーニング不足&老いを槍沢は教えてくれた。

それでも諦めずにひたすら登る今回の登山には、我々の結婚生活35年間を思い出させるものがあった。常念岳とほぼ同じ高さに腰掛けて、これまでのこと、これからのことあれこれ話しながら贅沢な夫婦の時間を過す。風もなく暖かくよい日だった。

 

 

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1:30重い腰をヨッコラショと上げ高みを目指す。(亀足で槍の肩まであと40分)
ここまでくるとバテバテの登山者が目立つ。ここに来て亀足の我々がバテバテ登山者を抜いていくようになる。それでも孤独な格闘は続いた。 

 

 

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2時ころには遠くに前穂北尾根が見えてきた。2日前に降った雪が積もる登山道をしばらく歩く。

2:08槍ヶ岳山荘着。槍沢ロッジから8時間40分。これが運動不足の夫の精一杯のタイムだった。

夫は還暦にリーチだから老いの始まり?(ちと早い気がするが)共に白髪まで(無くなるかも?)とは、今日のように助け合いながら元気で頑張ることなのだろう。とにかく我々は槍沢を登りきりました!私に付き合ってくれた夫の気持ちに感謝した。

 

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小屋前のテラスでコーヒーを飲む。一息つき小屋裏に回れば、キャホ~立山まで見渡せた。素晴らしい景色に酔いしれる。

 

Cimg0584 穴が空くほど見つめながら登ってきた槍ヶ岳だが結局登らなかった。言い訳のようだが登っている登山者や下山してきた興奮冷めやらずの人を見ている方が楽しかった。

 

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槍ヶ岳に登らなかった理由の本当のところは、始めっから槍ヶ岳をスルーして大喰岳に向かう予定だったから。このときの私は、槍より少しでも大喰岳~中岳~南岳の方へ行きたい心境だったのだ。

 

 

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5:00夕食。鶏の甘酢あんかけが柔らかく私好みで美味しかった。疲れた体に固いものは顎に負担がかかるので好きになれない。いつだったか、ヘロヘロで小屋について、夕食が冷めた固いトンカツで、顎がガクガクになり辟易した記憶がある。シソーノーローでもイレバでもムシバでもアリマセンが。

 

Cimg05945:39小屋裏で夕日を眺める。西鎌尾根を越す滝雲はイマイチだったが猛烈な風に乗り
あっという間に北に越えていった。

 

イビキ攻撃がない代わりに、夜中中ゴーゴーと風が唸り声をあげていた。
3000m稜線小屋は冷えた。

                              つづく

 

          出発地  : 槍沢ロッジ   1820m     6:05発 
          到着地  : 槍ヶ岳山荘   3080m    2:10着
          標高差  : A  1200m            5時間17分
                  D    59m                   15分 
          行動時間:                                 8時間41分
                     ピーク             3080m