平成22年10月11日(月祝)[E:sun]
5時の朝食を済ませ、6時槍沢ロッジを出発。見えるはずの槍の頭は朝もやの中だった。
紅葉の登山道をゆっくりと分け入っていく。吐く息は少し白いが寒くもなく気持ちよい朝だった。
ロッジから30分でババ平(テント場)に着いた。カールは雲海で真っ白。

でも私の強い想いが通じたのか、少し待つと東鎌尾根↑が徐々に姿を現わす。この徐々にという焦らし方は何とも心ニクイ。
お預けだった横尾尾根の紅葉も徐々に現れる。その過程は美し過ぎてうっとりと魅入った。
槍沢カールで眠っていた雲海も太陽に起こされ、方々に散っていく。
舞台上手に東鎌尾根、下手には横尾尾根、この槍沢ショーのオープニングは素晴らしかった。
槍沢ロッジ(1820)からちょうど2時間、8:00に分岐(2350)に着いた。
そして進路を天狗池に向ける。
カール底の天狗原↑から少し上がったところで私はザックをおろした。
ぼぉ~っと美しい景色を見ていると、快く送り出してくれた家族のこと、恵まれている自分であることなど、つぎつぎと思いがめぐる。この景色を通して山が「考える時間」を与えてくれていた。山の神様の素敵な計らいだった。
天狗原↑は離れがたいほど心地よいところだった。
童心に帰って小さくなってナナカマドのトンネル↑をくぐる。
雲ひとつない青空。上等の景色だった。
昨晩、槍沢ロッジ談話室でおしゃべりした写真家の男性が降ってきた。彼は天狗池の撮影の帰りだった。夜中の2:30頃にロッジを出発したけど早すぎたと話してくれた。彼のホームページに天狗池の写真があります。
今回は常念岳↑を先にじっくり眺めた。そして目線を落とし、また来ました、と池に挨拶する。私流の表敬の仕方で池に降りていった。
紅葉の天狗池は、夏と比べ物にならないほど良かった。
直線距離で約2kmも離れた槍が池に写りこむのが不思議だった。日付と重なってしまっているが池と槍の位置関係は写真↑の通りです。
今回はこの先が目的地なので、天狗池で長居はしなかった。
天狗池からは、初めてのルートを進む。横尾尾根の稜線↑目指して紅葉の中を足取り軽く登った。
振り向けば、大天井岳や燕岳まで見える↑。西岳でのことをなつかしく思い出す。
槍沢は涸沢よりいいかも。何より空いているのがいい。人がいないって本当にいい。
今年の7月末に歩いた北アルプス横断ルートがよく見えた。あそこでは難儀したなぁとか、この景色には思い出がたくさんある。見飽きない景色だった。
前穂北尾根・北穂が突然目の前に現われた。そこは横尾尾根の天狗のコル(2700)だった。10:16
夏の天狗池はこちらから見てください→夏の天狗池

















